「TikTok広告の運用は、ほかの広告と違って、難しい……」
そんな悩みを抱えていませんか。
FacebookやTwitterの運用と、TikTokが異なるのは、広告主の担当者自身が、TikTokユーザーではないケースが多いことです。
「TikTokの世界」がよくわからないのに、広告運用の結果を出さなければならないので、難しく感じてしまうのです。
そこで本記事では、「非・TikTokユーザーの広告担当者でも、最初から成果を出せるコツ」をお伝えします。
- 広告色を抑えた「TikTokオーガニック感」
- ターゲットの耳に留まる「BGM」
- 長さは「21秒から34秒」
- 「最初の3秒」の作り込み
- 「次の30秒」でメッセージ
- 「高CTRクリエイティブ」の踏襲
- ターゲティングは「ハッシュタグ」
- 「トップ広告」を学習
- 「WordPressとプラグイン」で運用を効率化
すぐ結果に結びつくメソッドを凝縮してまとめていますので、実践してみてください。さっそく、最初のコツから見ていきましょう。
目次
1. 広告色を抑えた「TikTokオーガニック感」
1つめのコツは「広告色を抑えたTikTokオーガニック感」です。
1-1. そもそもの考え方として「広告を作るな、TikTokを作れ」
そもそもの考え方として、TikTok広告では「広告を作ろう」とすると、うまくいきません。
TikTok広告の強みは、
〈クリエイティブなコンテンツを視聴者に楽しんでもらうことで、消費者が自然とブランドに惹きつけられるような関係を作る〉
ところにあるからです(出典:TikTok Ads)。
2020年には、TikTokの運営会社自身が、
「Don’t Make Ads.Make TikToks.(広告を作るな、TikTokを作れ)」
という大胆な呼びかけを行い、話題となりました。
TikTok広告で成果を出すために必要なのは、広告色ではなく「TikTokオーガニック感」です。
1-2. TikTokオーガニック感とは?
「TikTokオーガニック感」は、TikTok運営会社の資料などに登場する用語で、TikTokでよく見られるUGC投稿(*1)が持つ、共通の特徴のことです。
*1:UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略で、広告ではなく、ユーザーによって作成されたコンテンツを指します。
具体的なTikTokオーガニック感として、以下が挙げられます。
- 字幕がある
- プロっぽくない撮り方
- カメラ目線で語る
- ダンス要素
- 撮る場所のリアル感 など
「広告ではなく、TikTokを作る」の実践では、上記のような要素を取り入れながら、“TikTokぽい動画”を目指すことになります。
1-3. TikTokオーガニック感ありの動画は6秒視聴率が213.8%
EC業界のTikTok広告分析によれば、
〈TikTokオーガニック感ありの動画は、2秒視聴率が149.1%、6秒視聴率が213.8%〉
というデータが示されています。
1-4. 「9:16」の縦長動画は必須
具体的にどこから着手すべきかといえば、“TikTokを作る”ための基本のキは、「9:16」の比率で作る縦長動画です。
TikTok広告フォーマットの規約上は、正方形(1:1)や横型(16:9)でも掲載可能ですが、成果を上げるためには縦型(9:16)一択となります。
たとえば、YouTubeやTwitterでは横長の動画、Instagramでは正方形の動画も受け入れられますが、TikTokでは推奨されません。
1-5. 横型素材は縦型に編集する
予算の都合などで、TikTok専用に動画を準備するのは、難しいケースもあるかもしれません。
手持ちの横型素材を使って、TikTok広告を作りたい場合には、かならず縦型に編集するようにします。
▼ 縦型に編集する方法の例:
- 縦型に切り出す(左右をトリミングする)
- 横型のまま使用して上下に別画像を配置する
- 横型の段済み(横型の画像を2段にする)
おすすめは、縦型に切り出すやり方です。ほかの編集方法よりも、高いパフォーマンスとなっています。
なお、テレビCMの横型動画を縦型に編集して成功した事例が、TikTok公式サイトで紹介されています。
2. ターゲットの耳に留まる「BGM」
2つめのコツは「ターゲットの耳に留まるBGM」です。
2-1. TikTokはもともと「音楽」アプリ
TikTok広告では、無音の動画広告は掲載不可です。
背景として、TikTokのヒストリーを把握しておきましょう。
TikTokは、中国のBytedance社が開発したアプリですが、中国でのアプリ名は『Douyin』で、
「ユーザーが音楽に合わせて制作した、15秒間の動画を共有できる」
というコンセプトで始まりました。
TikTokの原点は、好きな曲に合わせて、ダンスやパフォーマンスを行える「音楽プラットフォーム」にあります。
TikTokのロゴマークが「音符」であることからも、TikTokにおける音楽の重要性がわかるでしょう。
すべてのTikTok動画は、サウンドが自動的に「オン」になった状態で再生されます。
TikTokユーザーは、音楽を楽しむことに対して期待があると、理解しておく必要があります。
2-2. BGM選びこそ重要
TikTok広告では、広告クリエイティブを届けたい相手の、耳に留まるBGMを選定することが、とても重要です。
多くの広告主は、テキストや画像でターゲットを惹きつける訓練は積んでいても、「広告の音/サウンド」に関して、知見が足りていません。
TikTok広告のBGMを選ぶ担当者としてふさわしいのは、TikTokのヘビーユーザーで、TikTokにおけるBGMの良し悪しを、オーガニックな視点で判断できる人物です。
そういった人材がいなければ、広告主側の自己判断だけでBGMを選ぶのは、回避したいところです。
以下の手段を検討してみてください。
- 実際のターゲット層に近い人物を探し、BGM選びの手助けをしてもらう
- 既存顧客に協力してもらい、BGMについて意見を聞く
- TikTokに精通しているクリエイターに依頼する
2-3. BGMはスマートビデオサウンドトラックから選択できる
「広告用のBGMは、どこから調達すればいいのか?」と疑問に思う方へ、補足しておきましょう。
版権を持っている、または著作権フリーの音源を持っている場合、それらをTikTok広告のBGMに利用できます。
そうでない場合は、TikTokの機能である「スマートビデオサウンドトラック」を活用しましょう。
TikTokの動画にBGMをつけたり、音量を調整したりする機能を「スマートビデオサウンドトラック」といいますが、4,000曲以上のBGMが提供されています。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
3. 長さは「21秒から34秒」
3つめのコツは「長さは21秒から34秒」です。
3-1. TikTokユーザーはタイパ主義
TikTokユーザーに見られる特徴的な傾向は、「タイパ(タイムパフォーマンス)主義」であることです。
▼ タイパとは?
タイパとは、費用対効果を表す「コスパ(コストパフォーマンス)」にかけた言葉で、時間に対する効果を指します。短い時間で高い満足度を得たい若者は、タイパの良いアプリやサービスを好み、さらにタイパを上げる使い方をしています。
出典:第106回 倍速視聴とタイパ主義:教育とICT Online
タイパ主義のユーザーへ、伝えたいメッセージを届けるためには、広告動画の時間(尺)を短くする必要があります。
3-2. 21〜34秒のTikTok広告はコンバージョンが280%上昇
TikTokの広告フォーマットは「動画の尺が5秒以上、60秒未満」です。
その中で最も高い成果を上げているのは、〈21秒から34秒の間に収まるTikTok広告〉と明らかになっています。
21秒から34秒の間に収まるTikTok動画広告は、その時間枠に満たない、または長い動画よりも、コンバージョンが280%上昇しました。もちろん、状況に応じて短くても長くてもいいのですが、真ん中くらいがちょうどいいという結果となりました。
「21秒から34秒」の時間を意識して、動画を編集しましょう。
4. 「最初の3秒」の作り込み
4つめのコツは「最初の3秒の作り込み」です。
4-1. マーケティングの「3-30-3」ルール
マーケティングの分野では「3-30-3」ルールといわれる法則があります。
たとえば、ブログ記事などのWebコンテンツで考えてみましょう。ユーザーの注意を引くためには、最初の3秒が肝心です。
アクセスしてきたユーザーを、最初の3秒で惹きつけることができなければ、ユーザーはページを閉じて去ってしまいます。
最初の3秒をクリアできたら、次の30秒でページ内容を読み進めてもらい、それがクリアできると、次の3分が購買意欲を高められるかの勝負……という考え方が、3-30-3ルールの概要です。
同じことが、TikTok広告にも、いえます。
「TikTok広告の“最初の3秒”で、ユーザーの注意を惹きつける」ことに注力するのです。
最初の3秒をクリアし、次の30秒(21〜34秒で制作した動画なら最後まで)を見てもらえると、コンバージョンに近づきます。
4-2. 「最初の3秒は命です」の成功事例
実際に、
「最初の3秒は命です」
と語っているのが、生活系アカウントsoeasy(@soeasy.hacks)の運営者です。
▼ soeasyアカウントの“中の人”であるNagisaさんの言葉:
「最初の3秒は命です。
動画を次々とスワイプして視聴するスタイルのTikTokでは、冒頭でいかに視聴者の目を引けるかが、動画のパフォーマンスに直結します。
だからこそ、最初の3秒には、映像のなかで最もユーザーを釘付けにできる部分を配置しないといけません」
インタビューの全容は、以下URLで公開されています。
「最初の3秒に何を持ってくるか?」に迷ったら、soeasy(@soeasy.hacks)の“最初の3秒”を参考にしてみてください。
同インタビューでは、
〈最初の3秒にどんなシーンを入れるかについて、何度も試行錯誤してノウハウを蓄積してきた〉
と語られており、お手本として最適です。
5. 「次の30秒」でメッセージ
5つめのコツは「次の30秒でメッセージ」です。
5-1. バズっても売上に結びつかなければ意味がない
ビジネスとして、費用をかけて実施するTikTok広告では、ただ“バズらせる”だけでは、不十分です。
「バズっても、売上に結びつかなければ意味がない」
というのは、多くの広告主に共通する思いではないでしょうか。
「広告を作るな、TikTokを作れ」は究極の真理ですが、同時に、ビジネスとして成立させるために不可欠なのが、バランスです。
- ネイティブ投稿のようなクリエイティブで、強いアテンションや共感を作る
- (広告として)伝えたいメッセージを伝える
両者のバランスをうまく取ることが、コンバージョン率の向上につながります。
5-2. 動画の中盤からは訴求を補足する
具体的なノウハウとしては、動画の冒頭はTikTokオーガニック感を重視して、広告色を抑えます。これは、前述のとおりです。
しかし、動画の最後まで同じテイストでは、バズっても売上に結びつかない広告になるリスクが高まります。
そこで、動画の中盤から「広告としての訴求」を補足していく手法が有効です。
実際に、このノウハウで制作されたTikTok広告の事例に、730万再生・140%の広告認知を獲得した『花王/アタックZERO』があります。
▼ 花王/アタックZEROのクリエイティブのポイント
- 動画の冒頭は、広告色を抑えてオーガニックテイストにする
- 動画の中盤からは機能訴求を補足してバランスを取る
- 訴求するポイントは1つに絞る(今回の場合「片手で簡単に洗剤投入ができる」)
上記のクリエイティブの作り手にインタビューした記事が、
「730万再生、140%の広告認知を獲得!花王アタックZEROのTikTok活用」
にて公開されています。参考にしながら、エッセンスを取り入れてみましょう。
6. 「高CTRクリエイティブ」の踏襲
6つめのコツは「高CTRクリエイティブの踏襲」です。
6-1. CTRの高いクリエイティブの7つの特徴
ここで解説するのは、前述の「メッセージを伝える広告としての訴求」と同じく、TikTok広告を売上につなげるための重要ポイントです。
コンバージョンを上昇させるには、高いCTR(クリック率)を確保する必要があります。
TikTokのレポートによれば、ECのTikTok広告でCTRが高いクリエイティブには、以下の特徴があると示唆されています。
- 商品要素を、6秒から15秒の間に出している
- ベネフィット(使用効果、強み、選ばれる理由など)を出している
- ベネフィットは、冒頭から6秒までの間に出している
- 価格を表示している
- サイトへ誘導するCTA(Call To Action:行動喚起)が入っている
- サイトへ誘導するナレーションが入っている
- 限定要素(今なら980円、今だけ80%OFFなど)がある
参考:TikTok運用型広告クリエイティブ Tips〜EC業界〜
上記7項目を網羅するように、クリエイティブを制作しましょう。
6-2. 参考:CTRが高い商材
参考までに、TikTok広告でCTRが高い商材は、補正下着やヘアケアです。
※グラフの文字が読み取りづらい方向けに、以下にテキストでも記載しておきます。
- 補正下着
- ヘアケア
- ダイエット
- 口腔ケア
- スキンケア、メイク
- エステ、美容
- 服飾、アクセサリー
- コンタクトレンズ
- 育毛、発毛
- 健康食材
近い商材を扱っている場合には、CTRのベンチマークとして、参考になるはずです。
7. ターゲティングは「ハッシュタグ」
7つめのコツは「ターゲティングはハッシュタグ」です。
7-1. TikTok広告で可能なターゲティング
前知識として整理しておくと、TikTok広告では、おもに次のオプションから、ターゲットとするオーディエンスを選定できます。
1. カスタム&類似オーディエンス | ・過去のマーケティングキャンペーンや自社で収集した顧客の情報を活用して「カスタムオーディエンス」を作成する ・既存のフォロワーや顧客と特定の特性を共有するユーザーのグループである「類似オーディエンス」を作成する |
2. 人口統計学 | ・デモグラフィック・ターゲティングで、年齢、性別、場所、言語などの特徴に基づいて、広告を配信する |
3. 興味・行動 | ・特定のカテゴリーのコンテンツとのインタラクションの高さに基づいて、広告を配信する ・どのようなクリエイターカテゴリ、動画カテゴリ、ハッシュタグとエンゲージメントしているかによって、ターゲティングする |
4. デバイス | ・OS、バージョン、デバイスのモデル、接続形態、キャリア、端末など、さまざまなデバイスの使用をターゲティングする |
詳しく確認しておきたい方は、TikTok公式の「TikTokでユーザーを理解し、ターゲティングに応用する方法」をご覧ください。
7-2. 「どのハッシュタグを見ている人がターゲット?」と考える
TikTok広告で効果的なターゲティングをするコツは、「ハッシュタグ起点」でユーザーを捉えることです。
“20代、女性、会社員…”といったデモグラフィックス的な属性よりも、
「どのハッシュタグを見ている人がターゲットか?」
という問いの答えを、明確にしましょう。
TikTokアプリの検索バーの[ハッシュタグ]タブでテキストを入力すると、どのハッシュタグが、どれくらいの頻度で利用されているのかがわかります。
ユーザーのボリューム(人数)を把握したり、関連するほかのハッシュタグを深掘りしてインサイトを発見するために、役立てましょう。
7-3. 新しいトレンドをハッシュタグから見つける
TikTok広告の運用中は、こまめにハッシュタグのトレンドをチェックしましょう。新しいトレンドから、新しいビジネスの価値を提供できるかもしれません。
ハッシュタグのトレンドは、「Trend Discovery: Popular Hashtags On TikTok」にて、確認できます。
出典:Trend Discovery: Popular Hashtags On TikTok
8. 「トップ広告」を学習
8つめのコツは「トップ広告を学習」です。
8-1. 「Creative Center」でトップ広告をチェックする
「TikTok広告の成功事例を見たい」
というときに便利なのが、TikTokの公式サイトが公開している「トップ広告」です。
TikTok公式サイトCreative Centerの「トップ広告」にアクセスすると、最新のハイパフォーマンス広告をチェックできます。
以下のように、アナリティクスも含めて確認できるので、活用しましょう。
▼ アナリティクスの例
8-2. TikTok公式の「活用事例」を読み込む
もうひとつ、TikTok公式ブログに掲載される「活用事例」も、参考になる情報です。
日本国内に特化した分析や、広告主が抱えていた課題と解決策など、インタビューが充実しています。
出典:活用事例
月に5〜6本のペースで新着記事が投稿されています。
こまめにチェックして、成功広告のエッセンスを、自社の広告へ反映させていきましょう。
10. まとめ
以上、「TikTok広告の運用で最初から成果を出したい人に贈る9つのコツ」をテーマにお届けしました。
- 広告色を抑えた「TikTokオーガニック感」
- ターゲットの耳に留まる「BGM」
- 長さは「21秒から34秒」
- 「最初の3秒」の作り込み
- 「次の30秒」でメッセージ
- 「高CTRクリエイティブ」の踏襲
- ターゲティングは「ハッシュタグ」
- 「トップ広告」を学習
- 「WordPressとプラグイン」で運用を効率化
読む前よりもTikTokに対する理解が深まり、“TikTok広告運用でやるべきこと”が、明確になっていれば幸いです。
さっそく9つのコツを押さえたTikTok広告を、出稿してみましょう。高い効果が得られるはずです。