「CRMマーケティングは具体的にどんな施策を行えばいい?」
CRMとは「顧客関係管理」のことで、顧客と良好な関係を築くことで新規顧客をリピーターに、リピーターをロイヤル顧客に育成していくための施策です。
CRMマーケティングでは、顧客に対してどのようにアプローチすれば、自社への信頼や好感度を上げることができるかを考え、実行していきます。
CRMマーケティングの具体的な施策は以下の通りです。
ただし、これらの施策を理解せずに実施すると、成果が上がらないだけでなく、最悪の場合顧客が離れる原因にもなるので注意が必要です。
施策ごとの特長ややり方を理解し、正しいCRMマーケティングを実施しましょう。
この記事では、以下の内容を詳しく解説しています。
- CRMマーケティングを始めるための2つの準備
- 6つのCRMマーケティング施策
- CRMマーケティングで重要なタイミング
- CRMマーケティングで重要な4つの軸
この記事を読むことで、どのようにCRMマーケティングを実施すればいいかがわかります。また、アプローチの適切なタイミングについても詳しく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.はじめにやるべき2つのCRMマーケティングの準備
CRMマーケティングの施策を考える前に、以下の準備をしましょう。
- 顧客データを分析する
- 顧客をセグメンテーションする
この準備を怠るとターゲットを見誤り、適切ではない施策を実行してしまう可能性があります。そうすると、想定していたような成果が上げられなくなる可能性が高くなるため、事前に自社の顧客層の把握やセグメンテーションをしてください。
では、事前準備について詳しく解説します。
1-1.顧客データを分析する
顧客データの分析は、自社の顧客の層を知るために行います。
自社のサイトを利用する年代・性別など、分析すべき項目を決めておき、会員情報や購買履歴からデータを収集しましょう。
以下はデータをまとめた表の例です。今回は、購入履歴のある会員を年代と性別で分けた場合の例を見てみましょう。
この表からは、以下のような分析ができます。
- 20~40代を中心に自社サイトが利用されている
- もっとも利用が多いのは30代である
- 30代女性は全体の20%を占める
- 2番目に多いのは20代女性だが、30代男性の利用率も高い
このことから、30代へのプロモーションを強化すべきでしょう。
もしこの企業が20代、もしくは40代に向けてプロモーションを行っていた場合、もっとも訴求すべきターゲットを見誤っていることになります。
このように、実際の利用者を分析することで、どの層にアプローチすべきか判断できます。
1-2.顧客をセグメンテーションする
顧客との関係を深めるためのコミュニケーションは、セグメントごとに適したアプローチを行うことが重要です。
どの顧客にも均等に同じアプローチをしても、CRMマーケティングにはなりません。なぜなら、新規の顧客とリピーター・優良顧客とではニーズが異なるからです。
例えば、月額制のサービスを利用し始めたばかりの人に、「基本的な利用の仕方」を配信するのは有効です。しかし、それを何年も継続利用している顧客に配信した場合、「なぜ今さら?」と思われてしまうでしょう。
そのため、CRMマーケティングを実施する前に、現状の顧客をセグメンテーションしておく必要があります。
顧客をセグメンテーションするための「RFM分析」
セグメンテーションするための方法としておすすめなのが、RFM分析です。RFM分析を行うことで、新規顧客・優良顧客・離反顧客など、明確に顧客を分けることができます。
RFM分析は、次の3項目で顧客をセグメンテーションしたものです。
Recency | 直近いつ購入したか |
Frequency | 何回購入したか |
Monetary | いくら購入したか |
現状の課題や満足度を知るためのものではありませんが、CS向上の施策として顧客のセグメント別で効果的なアプローチをするために必要な分析です。
基本的に、縦軸にRecency(直近いつ購入したか)、横軸にFrequency(何回購入したか)を用いて分類します。
縦軸にMonetary(いくら購入したか)を用いてしまうと、直近でいつ購入したのかがわからず、離反顧客(休眠顧客)の判断ができないからです。
では、RFM分析の分類例を見てみましょう。
上記のように顧客をセグメンテーションしましょう。
RFM分析の結果をもとに、優良顧客限定クーポンの配布など、各セグメントに合わせた施策を実施しましょう。
2.効果的なCRMマーケティングの施策6選
準備が完了したら、施策を検討していきます。
CRMマーケティングには、以下のような施策があります。
施策の種類 | 内容 |
---|---|
メールマーケティングの実施 | 顧客のニーズに合わせたメール配信 |
コンテンツマーケティングの実施 | 顧客に価値のあるコンテンツを配信 |
ソーシャルCRMの実施 | SNSを使ったマーケティング |
紹介プログラムの導入 | 顧客からの紹介に特典をつけるプログラム |
チャットボットの導入 | カスタマーサービス改善 |
商品・サービスの動画を配信 | 商品やサービスに関する情報を動画配信 |
施策を検討する場合には、自社の商品やサービスと相性のいい方法を選びましょう。例えば、定期商品はメールマーケティングや紹介プログラムに力を入れるなどです。
では、それぞれの施策について詳しく解説していきます。
3.【施策1】メールマーケティングの実施
顧客へのメール配信は、自社を定期的に思い出してもらう・顧客にとって有益な情報を配信して、自社をより好きになってもらうといった役割があります。
顧客ごとに適切な内容のメールを配信できれば自社への信頼感や好感度が増し、良好な関係を築くことができるでしょう。
そのためには、以下のような流れでメールマーケティングを展開していく必要があります。
- 顧客データの収集・分析
- シナリオ作成
- メール配信
では、それぞれのステップでやるべきことを詳しく解説します。
3-1.顧客データの収集・分析
顧客データの収集は、顧客の年齢や性別といった基本的なデータのほかに、商品の購入履歴・ポイント履歴などのデータを集めましょう。
事前準備の「1-2.顧客をセグメンテーションする」で解説したRFM分析の結果を活用することも可能です。
集めることができたら、顧客をセグメントごとに分けて、それぞれのセグメントごとにどのようなメールが効果的か、検討してください。
適切なタイミングでメールを送るためには、顧客ごとに配信内容を分ける必要があります。なぜなら、新規顧客とリピーターではニーズが異なるため、同じメールを配信しても効果的ではないからです。
例えば、自社サイトのポイントが幅広く活用できるため、「ポイントの使い方」の案内メールを送るとします。新規の顧客なら「ポイントが便利に使える」ことをアピールできるでしょう。
しかし、何度もリピートしている顧客からすると、ポイントのことはすでに知っている情報であるため、いらないメールだと判断されてしまいます。求めていない情報のメールは煩わしいと感じられてしまうので、CRMにならないのです。
また、新規の顧客に過剰にクーポンを配布すると、クーポンなしでは買い物をしてくれなくなるなど、費用対効果が悪くなる傾向があります。そのため、クーポンは適度に配布しつつ、おすすめ商品などの紹介を行うなどが効果的でしょう。
また、優良顧客限定クーポンを配布してロイヤリティを高める・休眠顧客には割引率の高いクーポンを配布して利用を再開してもらうなど、セグメントごとに配信内容を変えましょう。
3-2.メールを配信する
「3-1.顧客データの収集・分析」でどのようなメールを配信するか決定したら、メール配信のシナリオを決めます。
例えば、はじめて購入した顧客には購入から3日・7日・10日後にそれぞれどのようなメールを配信するかというように、シナリオを決めましょう。
以下は、メールの配信例です。
はじめての購入から購入3日後 | 次回使えるクーポンの配布 |
はじめての購入から購入5日後 | おすすめ商品の紹介 |
はじめての購入から購入10日後 | 購入・閲覧履歴からのおすすめ |
自社の商品に合わせた頻度と内容のメールシナリオを考えましょう。
シナリオを決めたら、それに沿ってメールの配信を行います。
開封率やCVなどを定期的に確認し、シナリオの内容を見直しましょう。
シナリオに沿ってメールを送るのは非常に工数がかかってしまいます。そのため、CRMツールを活用して、シナリオ通りにメールが自動で配信されるようにするのがおすすめです。
メール配信を自動化することで、工数削減に繋がるだけでなく配信ミスなどのヒューマンエラーも防ぐことができます。
4.【施策2】コンテンツマーケティングの実施
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成・発信する施策を指します。
本来は、自身のニーズを自覚していない潜在層へのアプローチとして行いますが、定期的に発信することで、自社の顧客をロイヤル化する効果も期待できます。
ユーザーにとって有益な情報を発信し続けていれば、購入後の顧客もそのコンテンツを読んでくれるでしょう。すると、顧客は自社を「自分にとって良い情報をもたらしてくれる企業だ」と認識します。
また、情報が正しくためになるコンテンツは、顧客の信頼感も高めます。そのようなコンテンツを発信することで、「これを買うなら、この企業のものを選べば間違いない」と感じてもらえるようになるでしょう。
そのため、コンテンツは積極的・継続的に発信するのがおすすめです。有益な情報を発信し続けることで、顧客のファン化に繋がります。
コンテンツには記事・ホワイトペーパー・動画などいくつかの種類がありますが、基本的な作成の流れは同じです。
では、具体的にコンテンツマーケティングの進め方を見ていきましょう。
4-1.ペルソナを設定してカスタマージャーニーマップを作成する
コンテンツマーケティングを実施する場合、自社のターゲットを深く知り、どのような購買行動をするか理解しなければなりません。
なぜなら、セグメントごとに求めている情報が違うため、顧客をコンテンツで育成する場合は段階に合わせたコンテンツを用意する必要があるからです。
そのために、ペルソナを設定してカスタマージャーニーマップを作成し、顧客の段階ごとにどのようなコンテンツを用意すべきかを判断しましょう。
ペルソナとカスタマージャーニーマップは、それぞれ以下のような役割を持ちます。
ペルソナ | 実際のデータを基にターゲット層に当てはまる人物像を詳細に設定することで、ターゲットを具体的にイメージできる |
カスタマージャーニーマップ | ユーザーが製品購入やサービス登録などの意思決定をするまでのプロセスを書き出したもので、各購買段階での課題を見つけられる |
ペルソナとカスタマージャーニーマップは作成に手間がかかりますが、マーケティング全般で非常に役立つため、ぜひ作成してください。
以下の記事の中で、それぞれの作成方法について詳しく解説しています。ぜひご参考ください。
4-2.キーワードを決める
購買段階ごとに適切なキーワードを選定します。
CRMツールを扱っている企業を想定し、「CRMツール」の購買段階別に分けてユーザーの心理状態をイメージしたものを見てみましょう。
購買段階 | 心理状態 |
---|---|
認知 |
|
情報収集 |
|
比較検討 |
|
購買後 |
|
カスタマージャーニーマップを基にして考えると、上記のように心理状態をイメージしやすくなります。
例えば、認知段階にいるユーザーはCRMツールの比較コンテンツを求めていません。そのようなユーザーには「CRMツール とは」といった基本的な知識が身に付けられるキーワードが適しています。
このように、「どのような情報がその段階の顧客にとって必要か」を考えながら、キーワードを決めていきましょう。
4-3.コンテンツの骨格を作成する
キーワードを決めたら、コンテンツの骨格を作っていきます。
見出しの構成を考える前に、「コンテンツのゴール」を決めましょう。ゴールとは、コンテンツを読んだユーザーがどのような状態になれば「有益だ」と感じてもらえるかです。
先ほどのCRMツールを例に挙げると、比較検討段階の顧客に向けた「CRMツール 比較」というキーワードなら、「自社で導入するCRMツールを見つけられる」といったゴールが考えられます。
ゴールを設定することで、おのずとコンテンツに盛り込むべき内容も見えてきます。
それを基にして、見出しの構成を考えましょう。
4-4.コンテンツを作成する
骨格ができたら、実際に執筆していきます。
文章を読んで、顧客が疑問を解消できる内容になっているかを確認しましょう。
また、作成した記事は定期的に検索結果の順位を確認し、リライトやメンテナンスを繰り返してアップデートしていきましょう。
コンテンツの作成は、SEOの知識が必要です。想定していたような成果が上がらない場合、外部委託も検討しましょう。
コンテンツの中でも、ホワイトペーパーについてより詳しく知りたい場合は、以下の記事で作り方を解説しています。ぜひご参考ください。
5.【施策3】ソーシャルCRMの実施
ソーシャルCRMは、Facebook・Twitter・Instagram・LINEなどのSNSを活用し、顧客満足度やロイヤルティの向上、企業イメージアップを図るためのマーケティング手法です。
SNSを活用することで、自然な形でコミュニケーションができ、顧客との結びつきも強化しやすいという特徴があります。
具体的な取り組み方は、以下の通りです。
商品・サービスに関する発信 |
|
自社に関する発信 |
|
ユーザー参加型企画の実施 |
|
SNS上でアンケートを実施 |
|
上記は一例であり、ほかにもさまざまな取り組み方があります。
また、ターゲットによって利用するSNSを選ぶことも重要です。以下の年代別のSNS利用率を参考にしましょう。
出典:総務省情報通信政策研究所|令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
このように、Facebookなら30~40代に強いといった特徴があるので、自社のターゲットに合わせたSNSの運用が重要です。
6.【施策4】紹介プログラムの導入
紹介プログラムは知人からの紹介であるため、信頼性の高い情報として認識されやすく、そこに特典をつけることで「試してみよう・買ってみよう」と思ってもらいやすい施策です。
顧客の知人に自社の商品やサービスを紹介してもらうという手法は昔からありますが、現在はスマホやSNSの普及により、紹介プログラムのバリエーションも多岐に渡ります。
紹介プログラムの例を見てみましょう。
- メールなどで個人的に紹介し、双方に割引がある
- 割引になるクーポン番号を掲載したSNS投稿をする
- 紹介した人が会員登録すると紹介者にポイントが付与される
- ゲームアプリを他の人に紹介して、その人がプレイすると紹介者が豪華なゲーム内報酬を貰える
現在もっともスタンダードな方法は、紹介した人が会員登録や買い物を行うと割引が適用され、紹介者にも割引クーポンやポイント付与の特典を進呈するという形でしょう。
また、SNSの場合はフォロワーも紹介者と似たような属性のユーザーが集まりやすいという特徴があります。つまり、優良顧客にシェアしてもらえればフォロワーが優良顧客になる可能性も高いということです。
このことから、紹介プログラムの導入は良好な関係を築きやすい顧客を確保するための方法と言えます。
どのようなメリットがあれば、商品やサービスを紹介したくなるのかを考えて、自社の紹介プログラムを検討してみましょう。
7.【施策5】チャットボットの導入
チャットボットとは、ユーザーからの問い合わせなどに自動で応答するプログラムです。
オペレーターに電話をかける必要がなく気軽に利用することができるため、顧客満足度を向上させることができます。
オペレーターが対応する場合、1人の顧客に時間を割かなければなりません。しかし、チャットボットはいくつもの問い合わせに同時対応できるため、業務効率化にも繋げられるだけでなく、顧客の待ち時間を減らせます。
また、オペレーターが対応するカスタマーサポートの場合、多くの企業が営業時間内のみの受付にしているでしょう。
チャットボットの場合はオペレーターを置く必要がなく、24時間365日対応が可能であるため、顧客が好きな時に疑問を解消できます。
もし、チャットボットでは解決できない問い合わせの場合はオペレーターに繋ぐことも可能です。
簡単な質問などに関してはチャットボットが回答し、解決が難しい要件はオペレーターが巻き取ることで、多くの顧客の疑問やクレームをスピーディーに解決できるでしょう。
8.【施策6】商品・サービスの動画を配信
商品やサービスを紹介する動画を配信することも、顧客の満足度を高めます。
商品のセッティング手順が多い場合、テキストを読んでも顧客は理解しきれない可能性があります。そのような場合に動画があれば、映像を見ながらセッティングを完了でき、ストレスなく商品を使い始めることができるでしょう。
他にも、以下のような動画を配信することで、顧客の満足度や信頼感を高められます。
- 使い方レクチャー
- 活用方法
- 商品やサービスに関連した情報
このような動画を用意して顧客に紹介することで、使い方がわからないといった初歩的な問い合わせも減らせます。
例えば、植物などをオンラインで販売する園芸専門店なら、以下のような動画があれば喜ばれるでしょう。
- 植物の種類ごとの育て方
- おしゃれな寄せ植えの組み合わせ方
- 切花をドライフラワーにする方法
- イベントに合わせた花束の選び方
このように、どのような情報があれば便利かを考えながら、動画を作成するといいでしょう。
9.CRMマーケティングは2つのタイミングに分けて考える
CRMマーケティングは、以下の2つのタイミングに分けて施策を考えることが大切です。
- はじめて購入した顧客へのCRM
- 継続してもらうためのCRM
この2つに分けて考えることで、より適切なコミュニケーションを取ることができるようになります。
CRMマーケティングで成果が出ない企業の中には、新規顧客もリピーターも同じ内容のメールを一斉送信している場合も多くあります。
しかし、それでは顧客が求める情報を適切なタイミングで届けることができず、顧客から信頼を得たりロイヤル顧客へと育成したりすることができません。
そのため、CRMにおいてタイミングは非常に重要なのです。
では、それぞれのタイミングにおけるCRMの特徴を解説します。
9-1.はじめて購入した顧客に対するCRM
はじめて自社の商品を購入した顧客に対するCRMで大切なことは、商品を「使ってもらうこと」です。
商品や無料お試しセットなどが手元に届いたものの、開封せずに放置する人は一定数います。それでは商品の良さをわかってもらえないため、良好な関係を築く以前の問題です。
定期商品を例に挙げると、まず購入のお礼と開封したかを確認するメールを配信し、その後詳しい使い方について紹介します。そうして実際に使ってもらい、商品の良さを実感してもらうのです。
また、商品の魅力やお客様の声を届けることで、商品についてより理解してもらうことも大切です。
9-2.商品やサービスを長く利用してもらうためのCRM
自社の商品を継続して使ってもらっている顧客には、より長期的に継続してもらうためのCRMを実施します。
消耗品であれば、なくなった際に再度購入してもらえるように、長期使用が可能な商品であれば、それに関連した商品を追加購入してもらえるように、顧客とどうコミュニケーションをとるかを考えましょう。
そのためには、継続的なメール・DMの配信を行い、自社を定期的に思い出してもらうことが大切です。
10.CRMマーケティングで重要な4つの軸
CRMマーケティングを行う場合、何度も解説した通り顧客にアプローチするタイミングや内容が重要です。
そのため、CRMマーケティングでアプローチ方法を考える際には、以下の軸が重要になります。
セグメント+タイミング | どの顧客にどのタイミングで? |
チャネル | なにを使って? |
コンテンツ | どんな内容を? |
オファー | どんな特典を? |
軸ごとになにを決めるべきなのかを理解しておくことで、施策やシナリオを組み立てやすくなるでしょう。
では、4つの軸について詳しく解説していきます。
10-1.セグメント+タイミング
セグメントとタイミングは、「どの顧客にどのタイミングでコミュニケーションをとるか」という軸です。
適切なアプローチのタイミングを見極めるために、重要なポイントとなります。
下記は、基本的な顧客育成フローです。
上記のシナリオでもっとも優先度が高いのは、「F2引き上げシナリオ」です。「F」はフリークエンシー(頻度)のことで、2回目のリピート購入を「F2」といいます。
なぜF2への引き上げが重要かというと、多くの商品やサービスは1度だけ利用してリピートしない顧客の割合が多いからです。
そのため、リピーターをロイヤル化するよりも、初回購入に留まっている顧客を引き上げる方が対象となる顧客の数が多く、優先順位も高くなります。
メールマーケティングの施策で解説したように、どのようにすればより顧客との関係を深められるかを考え、顧客のデータを収集・分析・セグメンテーションして、それぞれに合わせたシナリオを考えましょう。
10-2.チャネル
顧客とのコミュニケーション手段となるチャネルとして代表的なものには、以下の種類があります。
- メール
- LINE
- DM
- 電話
自社のターゲットによって、これらのチャネルは使い分けなくてはなりません。
ターゲットに合わせたチャネルを選ぶことで、より効果的にアプローチすることができ、顧客とより良い関係を築くことができます。
以下はチャネルごとの比較表です。
メール | LINE | DM | 電話 | |
---|---|---|---|---|
到達率 | 迷惑メールフォルダに入る可能性がある | ほぼ100% | 不着の可能性がある | 電話番号が変わっている可能性がある |
開封率 | 15~50% | 50~70% | 60~75% | 40~60% |
到着スピード | 速い | 非常に速い | 発送から数日以内 | 着信があっても出ない可能性がある |
コスト | 0.1~1円 | 1.5~3円 | 100円~ | 300円~ |
これらを比較すると、「3.【施策1】メールマーケティングの実施」で紹介したようなメールやLINEは低コストで開封率も高く、もっともいいコミュニケーション手段のように思えるでしょう。
しかし、チャネルを選ぶ場合にはコストや開封率だけで決めては失敗してしまう可能性があります。
なぜなら、メールやLINEは若年層には活用されていますが、ターゲットが高齢者である場合はスマホや携帯電話を持っていない、持っていても使いこなせていない可能性があるからです。
そのため、高齢者がターゲットの場合などは、アナログな電話やDMの方が効果的なケースもあるということを覚えておきましょう。
10-3.コンテンツ
メール・LINE・DMでアプローチする場合、コンテンツの内容を使い分けましょう。
コンテンツの内容が毎回同じでは、顧客が求める情報を提供できず、信頼感を失ってしまう可能性もあります。
以下は、コンテンツの例です。
コンテンツ | 内容 |
---|---|
自社・商品の歴史 | 創業〇年・販売から〇年・開発期間〇年 |
商品開発ストーリー | 商品開発秘話 |
販売実績 | 累計販売数・累計顧客数 |
受賞歴 | 〇〇受賞・〇〇部門で〇年連続優勝 |
利用者や推奨者の声 | お客様の声・モニターや有名人の声・専門家の声 |
商品の使い方 | 画像や動画を使った使用方法の解説 |
商品の効果 | 商品使用前後の画像や動画 |
自社・商品の歴史や販売実績などは、安心して買い物ができる企業・商品であることを示すことができます。
利用者や推奨者の声は、商品の効果や良さを第三者目線で伝えることができるため、商品に対する信頼を得やすくなるでしょう。
10-4.オファー
オファーとは、割引だけでなく特典や保証も含まれます。
オファーをすることによって購買のハードルを下げる効果が期待でき、新規顧客をリピーター化したり休眠顧客を復活させたりする際に役立ちます。
以下は、オファーの主な種類です。
オファー種類 | オファー例 |
---|---|
割引キャッシュバック | 価格割引・期間限定割引・関連商品割引・キャッシュバック |
お試しサービス無料サービス | 無料サンプル・無料トライアルキット・購入者への無料ギフト・無料カタログ・無料資料・無料見積もり・配送無料・設置無料・中古品の無料引取り |
ギフト | 友達紹介ギフト・ポイントギフト・ミステリーギフト |
保証 | 効果がなければ全額返金・生涯返品保証・商品交換保証 |
割引も効果がありますが、「返金保証」や「返品保証」は購入して効果がなくても顧客が損をしないことをアピールできるため、「試しに買ってみよう」と思わせることが可能です。
また、休眠復活シナリオには割引率の高いオファーを組み込むなど、セグメントに合わせてオファーを使い分けましょう。
11.まとめ
CRMマーケティングを実施する前に、自社のターゲットを理解して適切にアプローチするための準備をしましょう。
- 顧客データを分析する
- 顧客をセグメンテーションする
CRMマーケティングの具体的な施策は以下の通りです。
CRMマーケティングはタイミングが重要です。はじめて購入した顧客へのCRMと継続してもらうためのCRMに分けて施策を実施しましょう。
また、CRMの施策を検討する場合、次の4つの軸を意識することが重要です。
セグメント+タイミング | どの顧客にどのタイミングで? |
チャネル | なにを使って? |
コンテンツ | どんな内容を? |
オファー | どんな特典を? |
これらの軸を意識しながら施策を検討し、自社のターゲットに適切なアプローチをしていきましょう。