「Webマーケティングを行うと、どのような成果が得られる?」
「他社はどんな施策でWebマーケティングに成功しているのか参考にしたい」
このようにお考えの人もいるでしょう。
Webマーケティングとひとことで言っても、施策の種類はさまざまです。どのような施策でどのような効果が得られるのかを知るためには、成功事例が非常に参考になります。
しかし、参考になるのは企業規模が同程度の企業の事例であり、中小企業が大企業の事例を参考にしようとしても、予算や人的リソースがまったく異なるので難しいケースが多々あります。
そこで、本記事では従業員数100名以下の中小企業を中心に、Webマーケティングの成功事例を紹介します。
※株式会社トリニアス様、株式会社イマス様のみ従業員数が100名を超えています。
さまざまな業界の事例を集めたので、ぜひ自社の参考になる事例を見つけてください。
目次
1.成功事例①自社サイトからのリード獲得向上【竹内金属箔粉工業株式会社】
【企業情報】
会社名 | 竹内金属箔粉工業株式会社 |
従業員数 | 13名 |
資本金 | 8,000万円 |
事業内容 | 各種金属箔や精密金属加工品の製造・販売と金属材料および金属粉の販売 |
会社URL | https://www.etakeuchi.co.jp/ |
竹内金属箔粉工業株式会社は、各種金属箔や精密金属加工品の製造・販売と金属材料および金属粉の販売を行う企業です。
以前は自社の公式サイトはあったものの、情報量が少なく活用もしていませんでした。そのため、公式サイト経由の問い合わせはほとんどない状態だったそうです。
Webマーケティングに取り組もうと決めたきっかけとして、営業部の従業員が4人から2人に減ってしまったことを機に、Webサイトを有効活用することを検討し始めました。
1-1. MAツール導入
金属箔や精密金属加工品の製造・販売は特殊な業界です。そのため、同社はニーズのあるユーザーはインターネット検索を行うだろうと想定しました。
ニーズのあるユーザーを探るためのツールとして、MAツールの機能を詳しく知り、施策にマッチしそうだと考え、導入を決定しました。
【MAツールとは】新規顧客の獲得・見込み顧客の育成を目的とした、マーケティング活動をサポートするツールのことです。顧客情報を段階ごとに管理して、適切なターゲット選定に利用できます。 |
MAツールを活用し、公式サイトへの流入データを分析し、サイトのリニューアルに役立てました。
1-2.Webサイトのリニューアル
公式サイトのリニューアル時に、金属材料の情報掲載と、お問い合わせフォームの設置を行いました。
リニューアル後、サイト経由の問い合わせが入ってくるようになっただけでなく、海外からも問い合わせが来るようになりました。さらに、サイトに掲載した金属材料の情報を見たことを前提とした、スムーズなコミュニケーションができています。
また、お問い合わせフォームがあることで、深夜・休日・早朝の問い合わせも多く来ています。
リニューアル前は電話の問い合わせがほとんどだったため、応対に時間がかかっており、顧客が口頭での説明を誤認してしまうことで、トラブルになるケースもありました。また、問い合わせフォームがなかったことで、今までは取りこぼしがあったと想定できます。
施策の結果として、公式サイトのリニューアルを行ってから10カ月で、問い合わせ数が298%もアップし、新規顧客からの問い合わせが多く舞い込みました。
1-3. 在庫表作成とメルマガ告知によるホワイトペーパー施策
次に、ホワイトペーパー施策の取り組みとして、在庫表のホワイトペーパーを作成し、メルマガで告知を行いました。
そうすることで、顧客は在庫表を確認してから問い合わせをしてくれるようになりました。
在庫表を見落とすユーザーも多かったため、メールで告知することでダウンロード数が一気に伸び、現在も毎月一定数以上のダウンロードがあります。
また、在庫表を更新した際にはメールで最新の在庫表を配信しています。
2.成功事例②オウンドメディアの運用とターゲットの見直しでリード獲得【株式会社Shirofune】
【企業情報】
会社名 | 株式会社Shirofune |
従業員数 | 10名以下 |
資本金 | ─ |
事業内容 | 広告運用自動化ツールの開発・提供 |
会社URL | https://shirofune.com/ |
株式会社Shirofuneは「アルゴリズムのMade in Japanを」というスローガンを掲げ、「熟練の職人の技を再現する」をコンセプトにしたアルゴリズムでプロの広告運用を実現する広告運用自動化ツール「Shirofune」を提供しています。
限られたリソースでWebマーケティングを行うために、外部コンサルタントに依頼して継続的に施策を進めています。
2-1.オウンドメディアの運用
まず、はじめに行った取り組みとして、「インハウスマーケティングラボ」というオウンドメディアを立ち上げました。オウンドメディアを立ち上げた理由は、インハウスマーケティングの概念を広げるためです。
【インハウスマーケティングとは】自社のマーケティング業務を外部へ委託せずに内製することです。 |
オウンドメディアを立ち上げたことで、サービスサイトの月間セッション数が過去最高の10倍ほどまで上昇しています。
また、さまざまな企業にインタビューをすることで、間接的に自社のイメージを引き上げることができ、ブランディングにも役立ちました。
2-2.ターゲットの見直し
Shirofuneの顧客は、広告主と広告代理店です。
以前はWebマーケティングのターゲットは広告主に絞っていましたが、成果を最大化するためにターゲットの見直しを行いました。
見直しを行った結果、広告主よりも広告代理店のLTVが高いことがわかり、広告運用の内製化だけでなく、内製する過程を支援して欲しいというニーズが多いこともわかりました。
そこで、ニーズに合わせて価格改定と新たにサポートプランを新設しました。
2-3.無料コンテンツ公開
Shirofuneの機能には、広告運用レポートの自動作成があり、顧客からも高い評価を得ていました。
そこで、リード獲得に繋がる強力なコンテンツになると考え、その機能のテンプレートの無料配布を開始しました。
ただ、Webサイトにテンプレートダウンロード用CTAを設置するだけでは効果が見込めないため、以下の取り組みを実施しました。
・プレスリリースの配信 ・記事コンテンツの作成 ・ダウンロードを促すFacebook広告の配信 |
これらを行った結果、1か月で200件のリード獲得に成功し、その後も自然検索から毎月50件ほどのリードを創出できています。
3.成功事例③SEO・SNS対策とデータ分析受注数が増加【株式会社ナカムラ】
【企業情報】
会社名 | 株式会社ナカムラ |
従業員数 | 10名以下 |
資本金 | 1,000万円 |
事業内容 | 菓子・食品・飲料の企画販売/卸売 |
会社URL | https://myame.jp/ |
創業年度が1963年の、飴などの企画販売を行う老舗企業です。
2007年にWebサイトをオープンし、営業活動を行わずWebマーケティングを実施し、インバウンドでの受注を増やしている企業であるため、非常にお手本となる会社と言えます。
3-1.SEO・SNS対策
SEO対策として、検索エンジンの検索ログ分析を行いました。
自社サイトにヒットしやすいキーワードを入れ込むなどして上位表示を獲得しています。
また、季節に合わせたデザイン飴を制作してSNSで発信することで、WebニュースやSNSで注目を集めることに成功しています。
Instagramに投稿された飴がつくられる過程を撮影したリール動画は、557万回以上も再生されています。
3-2.データ分析
この企業のもっとも参考にしたい部分が、ペルソナ分析とアクセスログ解析をしっかりと行っているという点です。
自社サイトに訪問した人からの受注率を上げるために、まずアクセスログ解析を行いました。その結果、28~35歳の女性で、営業企画やCSR部門に所属している人が多いということがわかりました。
その結果を基にペルソナを設定し、公式サイトに多くのオーダー事例や取引実績を公開した結果、信頼性が高まり企業からの受注に繋げることに成功しています。
4.成功事例④LINEアカウント・Web広告の活用で顧客との接点作り【白瀧酒造株式会社】
【企業情報】
会社名 | 白瀧酒造株式会社 |
従業員数 | 100名以下 |
資本金 | 2,266万円 |
事業内容 | 清酒製造販売/化粧品販売 |
会社URL | https://www.jozen.co.jp/top/ |
白瀧酒造株式会社は清酒製造販売を行う企業です。
顧客との接点を対面からオンラインに切り替えるために、Webマーケティング施策を実施しました。
4-1.LINE公式アカウント
まず、顧客との接点をオンラインに切り替えるために、LINE公式アカウントを積極的に活用しました。
通常のメッセージ配信だけでなく、カードタイプメッセージ・リッチビデオメッセージなども積極的に活用しました。
【用語解説】 ・カードタイプメッセージ:カルーセル形式で複数枚のカードを配信できるメッセージフォーマットです。 ・リッチビデオメッセージ:自動再生される動画をメッセージとして配信する機能です。 |
さらに、季節やイベントに合わせたクリエイティブを作成・配信し、約26,000人もの友だちを増やすことに成功しました。
4-2.LINE広告
また、LINEアプリ内に掲載できる「友だち追加広告」の配信も開始しました。友だち追加広告は、友だち追加1件ごとに課金される仕組みの広告で、友だち数を増やす場合に効果的です。
友だち追加広告により、友だち数をさらに9,000人増やすことができました。
その結果、数量限定商品の販売開始メッセージの配信を行うと、売り切れになるほど好調に運用ができています。
LINE広告に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
LINE広告の運用で早く勝ちパターンにたどり着く9つの重要ポイント
5.成功事例⑤広告運用とコンテンツマーケティングでアポ獲得率が増加【株式会社トリニアス】
【企業情報】
会社名 | 株式会社トリニアス |
従業員数 | 400名以下(グループ全体) |
資本金 | 1000万円 |
事業内容 | ライフコンシェルジュ事業/デジタルマーケティング事業/パートナー事業/ソーシャルメディアマーケティング事業/デジタルクリエーション事業/コンテンツ事業 |
会社URL | https://trinias.co.jp/ |
株式会社トリニアスは、ライフコンシェルジュ事業やデジタルマーケティング事業など、複数の事業を展開する企業です。
以前はテレアポが中心のアウトバウンド営業を行っていました。
しかし、アウトバウンド営業では顧客層が限られるため、新規顧客開拓が課題であると感じ、インバウンドマーケティングの取り組みと、インハウス化を開始しました。
5-1.広告運用
まず、CRMの情報からどのようなターゲットに対して訴求すればいいのかを整理し、広告運用をスタートさせました。
Facebook広告で、受注に繋がったら広告予算を少しずつ上げていくという方法で進めた結果、月200件以上のリードを獲得できるようになりました。
また、CPA3,000円以下を目標とし、改善を進めた結果、CPA2,200円を実現しました。アポ獲得率は60%以上、受注率も15%と安定して新規顧客を獲得でき、さらにインハウス化も実現できました。
【用語解説】 ・CRM:顧客との関係性を管理して利益の最大化などを目指すための施策、またはその施策を行うためのツール ・CPA(顧客位獲得単価):1件の顧客・成果を獲得するにあたりかかった広告費用 |
5-2.コンテンツマーケティング
広告運用だけでなく、コンテンツマーケティングとしてオウンドメディアの記事を作成し、上位表示を目指しました。
そして、取り組み開始後4か月で、検索結果1位表示のコンテンツが出てきました。
コンテンツマーケティングでどのように取り組めば成果に繋がるのかが理解できたことで、他事業部に展開し、社外広報のスタートなど企業としてできることの幅を広げることもできました。
6.成功事例⑥Web広告とLP管理でCV獲得【株式会社ケーズプランニング】
【企業情報】
会社名 | 株式会社ケーズプランニング |
従業員数 | 3名 |
資本金 | 500万円 |
事業内容 | エクステリア・外構設計施工/ガーデン・庭設計施工/住宅リフォーム/鉄骨工事/基礎工事/解体工事 |
会社URL | https://ksplanning.info/ |
株式会社ケーズプランニングは、埼玉県内を中心にエクステリア・外構・ガーデンの設計や施工を行う企業です。
業績の拡大は順調だった同社ですが、今後の事業成長を見据えた場合、企業だけでなく一般消費者からの新規顧客獲得や、受注率の向上が不可欠だと考え、Webマーケティング施策を実施しました。
新規顧客を開拓するにあたり、ノーコードツールを利用したLP作成とリスティング広告の運用を開始しました。
リスティング広告を開始してから、徐々に問い合わせが増え、成約にも繋げることに成功できています。
広告運用開始から9か月でCVをコンスタントに獲得できるようになり、Web広告の運用とLP管理を継続して行っています。
【用語解説】 ・LP(ランディングページ):広告などをクリックしてユーザーが最初にアクセスするページ ・LPO:CVを増やすためにLPを最適化する手法 ・CV:商品購入や資料請求など、最終的な成果のこと ・ノーコードツール:システムを構築に必要なコードを書かずにシステム構築できるツール |
7.成功事例⑦自社サイトの改善と広告運用で問い合わせ件数が増加【株式会社イマス】
【企業情報】
会社名 | 株式会社イマス |
従業員数 | 175名 |
資本金 | 3,000万円 |
事業内容 | 事業用建物のリース業務/建築設計開発業/不動産の総合管理業務 等 |
会社URL | https://imas-ryutsu.jp/ |
株式会社イマスは、法人向けの不動産サービス・倉庫業・建築事務所経営など、幅広く事業を展開している企業です。
公式サイトのサーバー契約期間が終了することを転機とし、サイト改善や広告運用などに取り組み始めました。
7-1.公式サイト改善
以前の公式サイトは不動産物件の掲載数も少なく検索しにくい仕様で、どのような会社かを案内するだけのパンフレットのような役割しか果たせていませんでした。
また、物件情報も管理できておらず、物件以外のサービス紹介ページへの遷移方法もわかりにくい状態でした。
初めに、情報を整理して公式サイトの無駄を徹底的に削除しました。さらに、マップでエリアごとに募集中の物件がわかるようにするなど、物件情報を探しやすくしました。見つからない場合は問い合わせしやすいように改善を行い、掲載物件数も増やしていきました。
リノベーションや店舗内装など、他の事業は「事業紹介」の目次からすぐにわかるように改善しました。
結果として、問い合わせ件数は向上し、公式サイト経由の顧客も増えてきています。
7-2.Googleの検索連動型広告
公式サイトの改善後は、Web広告での集客も開始しました。元々はアウトバウンド営業がすべてだった営業スタイルを変化させるためです。
公式サイトを「物件を探しやすいサイト」に改善したので、Webで物件を探すユーザーも呼び込むために検索連動型広告の運用を開始しました。
現在は広告の配信設定の調整や、公式サイトのCTA設置・ページ内誘導の改善を継続して行っています。
8.まとめ
今回は、従業員数100名以下の中小企業を中心に、7つのWebマーケティング成功事例を紹介しました。
Webマーケティングを行う場合、1つの施策に注力することも大切ですが、紹介した事例のように複数の取り組みによって、より良い成果を挙げることも可能です。
まず、自社の課題を明確にし、その課題にあった方法でWebマーケティングを行いましょう。
今回紹介した成功事例は、さまざまなWebマーケティング手法を紹介しています。
自社と同様の課題を抱える企業や企業規模が近い企業の事例を参考に、Webマーケティング施策を検討してみてください。