「マイクロコピーって実際にはどう活用されているんだろう?」
「どんなマイクロコピーをお手本にしたらいい?」
マイクロコピーについて、このような疑問をお持ちではありませんか?
コンパクトなテキストでありながら、ユーザーの行動を後押しすることでサイトのCVR向上を目指すマイクロコピー。自社サイトにも取り入れてみたいですよね。
マイクロコピーのやり方には、以下5つのパターンがあります。
この記事では、上記5つのパターンごとにマイクロコピーの優れた事例をご紹介していきます。
また、事例の見出しは「効果的なマイクロコピーを作るために何をすべきか」という表現になっているため、そのまま行動リストとしてお使いいただけます。
行動を呼びかける | ・手軽さをアピールする ・具体的なイメージにつながる数値を示す ・リンク先の内容を具体的に表示する ・タイミングワードを使う ・サイト内検索窓にヒントを入れる |
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ベネフィットを伝える | ・「無料」を前面に出す ・どのくらいお得なのかを明示する ・素晴らしい体験がイメージできる表現を使う |
不安を和らげる | ・不当な請求はしないことを明記する ・キャンセル可能なことを伝える ・秘密を守ることを約束する ・個人情報を提供してもらう理由を説明する |
信頼性をアピールする | ・実績を公開する ・口コミを紹介する |
ファンになってもらう | ・ブランドの理念を表現する ・ユーザーをサポートする ・遊び心を提供する |
もしあなたが効果的なマイクロコピーを作りたいのであれば、優れた事例をたくさん知ることはとても役に立ちます。
多くの優良事例を知ることによって、成功率が高いコピー案のレパートリーを増やすことができ、ベストなマイクロコピー作成までの時間が短縮できるからです。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
・【パターン別】マイクロコピーの優良事例17件
・マイクロコピーのNGパターン
・事例からみるマイクロコピー成功のためのポイント
この記事を読むことで、マイクロコピーの具体的なやり方がイメージできるようになるでしょう。また、自社の場合にはどのように取り入れるべきかという見当もつくでしょう。
サイトから多くの顧客を取り込むようにするための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.【行動を呼びかける】マイクロコピー5つの事例
まずは、行動を呼びかけるマイクロコピーの事例です。
以下のようなテキストによって、ユーザーの「やってみよう」という意欲を高めてCVにつなげます。
1-1. 手軽さをアピールする
手軽さのアピールは、ユーザーの行動を後押しすることにつながります。
なぜなら、行動することの障壁となる「時間と手間を取られるのは面倒だ」という気持ちを取り除くからです。
たとえば、生命保険会社のライフネット生命は、保険料見積りページへのリンクボタンに「無料で10秒見積り」というマイクロコピーを設置しています。
出典:ライフネット生命
このマイクロコピーによって、見積りが“コスト不要”かつ“非常に短時間でできる”ことがわかります。
また、リンクボタンの左側には「保険料の見積もりに個人情報は不要です!」というマイクロコピーも。これによって、個人情報を入力する手間もかからないことが伝わります。
そして、動画配信サービスのU-NEXTは、無料トライアルの申し込み手続きに関して「登録は3ステップで簡単。」というマイクロコピーを設置しています。
出典:U-NEXT
このマイクロコピーによって、無料トライアルを利用するのに必要な手順は少なく、あまり時間もかからないであろうことがわかります。
これらの事例のように、とにかく手軽で煩わしいことはないというアピールができると、ユーザーは「それならやってみようかな」という気持ちになってくれるのです。
1-2. 具体的なイメージにつながる数値を示す
ユーザーが商品や手続きについて具体的にイメージできるように、数値を示すのも効果的です。
その後の状況がよくイメージできると、漠然とした躊躇が払拭され、行動を起こしやすくなるからです。
たとえば動画配信サービスのU-NEXTは、「まずは31日間無料トライアル」というマイクロコピーによって、無料トライアルが具体的にどれくらいの期間利用できるかを明示しています。
出典:U-NEXT
さらに、「本日登録すると〇月〇日まで無料」というマイクロコピーもあることで、ユーザーはその日まで無料でコンテンツを楽しむ自分の姿を容易に想像できるでしょう。
また、オランダの総合エネルギー事業会社Enecoでは、電気料金のオンライン見積りを提供していました。
見積りページへのリンクボタンに設置するマイクロコピーをテストしたところ、「今すぐ計算する」よりも「1分で計算する」の方が、見積りをする人の割合が16%多かった(※1)のです。
これは、所要時間が1分だと具体的にイメージできたことによって、それならと見積りに踏み切る人が増えた結果だといえます。
これらの事例のように、行動の結果がどうなるのかということを数値を用いて具体的に伝えられると、ユーザーは抵抗なく次のステップに進んでくれるのです。
(※1)山本琢磨(2022)Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー[第2版],p82
数値はユーザーの期待に寄り添う値にするのがコツ マイクロコピーに数値を使用するにあたっては、ユーザーの期待に寄り添う値を選択するのが効果的です。期間を具体例にしてみましょう。 ・ユーザーが長い期間を望む場合には、数値を大きく無料トライアルだとしたら、「1ヶ月」ではなく「31日間」にした方が、同じ期間でもなんとなく長くてお得なイメージがしませんか? ・ユーザーが短い期間を望む場合には、数値を小さくネット通販で商品を購入したら、多くの人は早く届けてほしいと思いますよね。そこで、「お届けまで7日間」ではなく「1週間」にすると、より短期間のイメージをもちやすいのです。 |
1-3. リンク先の内容を具体的に表示する
ボタンやバナーのマイクロコピーでは、リンク先の内容を具体的に表示することが大切です。
「詳しくはこちら」のような表現でリンク先の内容がわからないと、ユーザーはそこに知りたい情報があるのか判断できないために離脱する可能性が高いからです。
デジタルツールの大手メーカーであるAppleが“M1システムオンチップ”を紹介するページでは、リンクボタンに以下のようなマイクロコピーが設置されています。
出典:Apple
これらのマイクロコピーによって、ユーザーはリンクボタンの先にどんな情報があるのかを一目で理解できます。
スマホが普及した近年は特に、サイトを閲覧するユーザーはその内容をじっくりと読んでいるというよりも、流し読みをしているケースが多いものです。
「詳しくはこちら」だとそれが何のことだったか記憶に残っていない可能性があり、理解するためにはページを遡らなくてはなりません。その手間が離脱につながります。
一方、Appleの事例のように「ここだけ見れば何のことかわかる」という状態を作れると、ユーザーが考えたり迷ったりしなくて済む分、行動を起こしやすくなるのです。
1-4. タイミングワードを使う
いつ行動するかを示すタイミングワードという表現を使うのが効果的な場合もあります。タイミングワードとしてよく使われるのは、「今すぐ」です。
「今すぐ」というマイクロコピーは、ユーザーを“今この瞬間に行動すべきだ”という気持ちにさせるからです。
たとえば、レザーブランドのHushTugは、購入ボタンに設置するマイクロコピーをテストしたところ、「予約注文する」よりも「今すぐ予約購入する」の方が、CVRが1.5倍になりました(※2)。
出典:HushTug
この事例のように、“行動すべきはいつかではなく今”というメッセージを伝えられると、ユーザーが他のページに行ったまま戻ってこないという事態を防ぐことができます。
(※2)山本琢磨(2022)Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー[第2版],p75
「今すぐ」よりも「後で」の方がよい場合もある 「今すぐ」は効果的なマイクロコピーですが、商品やサービスの性質によっては「後で」の方が適切な場合もあります。 具体的には、商品が高額・大量など、ユーザーが購入前によく検討したいだろうと考えられる場合です。 このような場合に「今すぐ」を使ってしまうと、ユーザーの気持ちと乖離するため逆効果になります。 まずは自社製品の特徴とユーザーの気持ちをよく分析し、適切なタイミングワードを選択することが大切です。 |
1-5. サイト内検索窓にヒントを入れる
サイト内検索窓に検索のヒントになるマイクロコピーを入れるのも、CVR向上につながります。
実は、サイト内検索窓を使う人は、そうではない人に比べて2~3倍成約率が高い(※3)と言われているのです。
そのため、サイト内検索窓をユーザーにとって使いやすくしておくことで、より多くのアクションが見込めるというわけです。
たとえば、ドラッグストアのマツモトキヨシは、サイト内検索窓に「商品名、症状、キーワードを入力してください」というマイクロコピーを設置しています。
出典:マツモトキヨシ
このマイクロコピーによって、ユーザーは欲しい情報を探すためにはどのようなキーワードを使うべきかわかり、スムーズに検索を進めることができるのです。
この事例のように、取るべき行動を正しくガイドできると、ユーザーがそれに従って行動を起こしてくれる確率が高まります。
(※3)Microcopy: Tiny Words That Make A Huge Impact On Conversions(CXL)
2.【ベネフィットを伝える】マイクロコピー3つの事例
次にご紹介するのは、ベネフィットを伝えるマイクロコピーの事例です。
以下のようなテキストによって、ユーザーの「これはやった方がよさそうだ」という価値の認識を促してCVにつなげます。
2-1.「無料」を前面に出す
金銭的なベネフィットとしてとても強力な「無料」は、前面に押し出していきましょう。
お金がかかるということは、人が行動する際の大きな障壁になります。それが取り払われると、ユーザーは次の一歩に大きく踏み出してくれるのです。
ゲームの開発・販売会社であるスクウェア・エニックスのドラゴンクエストオンラインX紹介サイトには、「今すぐ無料体験プレイ」というマイクロコピーと「無料でためしてみる!」のリンクボタンが設置されています。
「無料」が繰り返されていることで、お金がかからないというベネフィットが確実に伝わるようになっています。
さらに、無料の上には「けっこう遊べる!」のマイクロコピーもあり、無料なのにかなりよい体験ができそうだという期待が膨らみませんか?
また、オランダの連絡先管理サービスSoocialでは、 サインアップボタンの横に「 無料( It`s free)!」というマイクロコピーを設置したところ、サインアップ率が28.3%向上(※4)しました。
これらの事例のように、「無料」というベネフィットをしっかり伝えられると、ユーザーは“ひとまず試してみよう”と行動を起こしてくれます。
(※4)山本琢磨(2022)Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー[第2版],p57
2-2. どのくらいお得なのかを明示する
購入や申し込みをするとどのくらいお得なのかを明示するのも効果的です。
ベネフィットの内容が明確だと、ユーザーはそれを自分事として捉え、行動すべきかどうかを判断しやすくなるからです。
たとえば、カード決済サービスのSquareは、サイトのトップページに「初めまして、の方限定で。Squareリーダーが37%オフ」というマイクロコピーを設置しています。
出典:Square
その下部にはSquareリーダー詳細へのリンクテキストがあり、ユーザーはいくら値引きを受けられるのかわかります。
また、お得なクーポンを発行する旨や、値引き前の価格を提示するなどのマイクロコピーも、この方法にあたります。
これらの事例のように、お得の実感を促すことができると、ユーザーは“これを逃したくない”という気持ちになりやすいのです。
2-3. 素晴らしい体験がイメージできる表現を使う
ユーザーにとって素晴らしい体験が待っていることをイメージできるような表現を用いると、ベネフィットに大きな価値を感じてもらえます。
たとえば、動画配信サービスのHuluは、無料トライアルの案内に「人気の映画・ドラマ・アニメ・バラエティが見放題」「テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレットなどで、いつでも、どこでも見放題でお楽しみいただけます」というマイクロコピーを設置しています。
出典:Hulu
このマイクロコピーによって、ユーザーはいつでもどこでも好きなコンテンツを視聴する自分の姿を想像して、ワクワクするはずです。そして、どんな風に楽しもうかとイメージを膨らませるのではないでしょうか。
また、音楽ストリーミングサービスAppleMusicのトップページに設置されているマイクロコピーは、「音楽に包まれよう。」です。
出典:Apple Music
何をどうするかという具体的なメッセージではないにもかかわらず、心に響く感じがしませんか?
利用することによって、自分の生活が音楽で彩られ豊かになるだろうというイメージが湧くからでしょう。
これらの事例のように、価値ある未来を想像してもらうことができると、ユーザーは商品やサービスに魅力を感じて申し込みに踏み出すのです。
3.【不安を和らげる】マイクロコピー4つの事例
不安を和らげるマイクロコピーも、とても重要です。
以下のようなテキストによって、ユーザーの「これなら行動しても大丈夫そうだ」という安心を誘ってCVにつなげます。
3-1. 不当な請求はしないことを明記する
ユーザーの不安を和らげるためにとても効果的なのは、不当な請求はしないと明記することです。
お金を失うかもしれないという恐怖心を感じると、ユーザーはその後の行動をストップしてしまいます。“これ以上進むと請求されるかもしれない”と思ってサイトから離脱した経験がある人は多いのではないのではないでしょうか。
請求が発生しないことを伝える、あるいは請求のタイミングを明示することによって、ユーザーの恐怖心を払拭することができます。
たとえば、インバウンドマーケティングのソフトウェアであるHubSpotは、アカウント作成画面に
「HubSpotのCRMは完全に無料でご利用になれます。」「クレジットカードなどの決済情報は不要です。」というマイクロコピーを設置しています。
出典:HubSpot
このマイクロコピーによって、ユーザーは利用しても費用を請求されることはないとわかって安心できます。
また、SEO最適化ツールを販売するYoastでは、決済の最終確認ページに「そのほかの追加費用はありません」というマイクロコピーを設置したところ、CVRが11.3%向上(※5)しました。
サイトの複数個所に変更を加えているため、このマイクロコピーだけの効果とは言い切れませんが、ユーザーの不安解消に大きな役割を果たしたのは間違いないでしょう。
そして、民泊プラットフォームのairbnbは、予約ボタンの下部に「まだ請求されません」というマイクロコピーを設置しています。
出典:airbnb
このマイクロコピーによって、ユーザーは安心して予約画面に進むことができます。
これらの事例のように、よくわからないままにお金を取られることはないと安心してもらえれば、ユーザーは離脱することなく行動を進めてくれます。
(※5)山本琢磨(2022)Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー[第2版],p65
3-2. キャンセル可能なことを伝える
購入や手続きをしてもキャンセルが可能であることを伝えると、ユーザーは行動を起こしやすくなります。
なぜなら、気が変わったとしても実害はないという安心感が、“それならとりあえずやってみよう”という気持ちにつながるからです。
たとえば、有料の会員制サービスであるAmazonプライムの無料体験申し込みボタンの下には、「いつでもキャンセルできます。」というマイクロコピーが設置されています。
出典:Amazonプライム
このマイクロコピーによって、サービスの利用はいつでもキャンセルでき、気に入らなければ30日間のうちにキャンセルすることで料金は発生しないということがわかります。
また、寝具ブランドのNELLは、注文ボタンの上に「120日間の返品返金保証」というマイクロコピーを設置しています。
出典:NELL
返品返金が可能となれば、マットレスという高額商品を現物を見ずに購入することへの不安が緩和されますよね。120日間もの長い期間試してから決められるというのも、安心に拍車をかけるでしょう。
アカウント情報や契約内容について「いつでも変更可能」というマイクロコピーも、この方法にあたります。一度決めたら後戻りできないという不安を和らげるからです。
これらの事例のように、もし行動を誤ったと感じたらノーリスクで引き返せる旨を伝えれば、ユーザーはとりあえずの一歩を踏み出してくれます。
3-3. 秘密を守ることを約束する
ユーザーの秘密を守ることを約束するマイクロコピーも、ユーザーの行動を後押しします。
プライバシーが侵害されるかもしれないという懸念が払拭できると、ユーザーは安心して行動を起こすことができるからです。
たとえば、インバウンドマーケティングのソフトウェアであるHubSpotは、アカウント作成画面に以下のマイクロコピーを設置しています。
「HubSpotはお客さまのプライバシー保護に全力で取り組んでおります。お客さまからご提供いただいた情報は、お客さまと関連のあるコンテンツ、製品、サービスに関する情報をお送りするために使用させていただきます。なお、当社からの配信はいつでも解除していただけます。詳しくは、当社のプライバシーポリシーをご確認ください。」
出典:HubSpot
このマイクロコピーによって、以下の内容がユーザーに伝わります。
・企業のプライバシー保護への熱意
・提供した情報は必要な用途以外には使われないこと
・いつでも企業からのアクセスを遮断できること
・プライバシーがどのように保護されるかという具体策(プライバシーポリシーへのリンク)
その結果、ユーザーは“これならプライバシーが侵害される恐れは少なそうだ”と安心することができるのです。
また、マッチングアプリゼクシィの利用開始ボタン(Facebookアカウント使用)の上には、「Facebookには一切投稿されません」というマイクロコピーが設置されています。
出典:ゼクシィ縁結び
このマイクロコピーがあることで、マッチングアプリの利用を周囲に知られたくないというユーザーも、安心して手続きを進めることができます。
これらの事例のように、プライバシーという面でのリスクが少ないことをアピールできると、ユーザーは“それなら試しても大丈夫かも”と行動することに前向きな気持ちになってくれるのです。
3-4. 個人情報を提供してもらう理由を説明する
ユーザーに個人情報の提供を求める場合には、なぜそれが必要なのかという理由を説明しましょう。
なぜなら、はっきりとした理由がわかってそれに納得できると、人は行動を起こしやすくなるからです。
たとえば、SNSのFacebookは、アカウント登録画面の誕生日入力部分に「生年月日を入力することで、年齢に合ったFacebookの利用が可能になります」というマイクロコピーを設置しています。
出典:Facebook
このマイクロコピーによって、ユーザーは誕生日情報の使用目的と、入力するとメリットがあるということがわかります。
また、ファッション通販サイトのZOZOTOWNの新規会員登録画面には、生年月日の下に「生年月日を入力すると、パスワードを忘れた場合の手続きがスムーズです。」というマイクロコピーが設置されています。
出典:ZOZOTOWN
この場合も、生年月日という個人情報を求められる理由がわかるため、ユーザーの情報提供への抵抗感は軽減するでしょう。
これらの事例のように、必要性やメリットをしっかり伝えられると、ユーザーの“できるだけ個人情報を提供したくない”という気持ちを和らげることができます。
4.【信頼性をアピールする】マイクロコピー2つの事例
信頼性をアピールするマイクロコピーの事例もご紹介しておきましょう。
以下のようなテキストによって、ユーザーの「この商品・サービスは信頼できそうだ」という気持ちになってもらい、CVにつなげます。
4-1. 実績を公開する
人気や実力を示す実績を公開すると、ユーザーの信頼を得やすくなります。
多くの人が利用している・実際に成果が出ているという情報を得ると、ユーザーは商品やサービスの質を保障されたような気持ちになるからです。
たとえば、ビジネスチャットサービスのChatworkは、サイトのトップページに以下のマイクロコピーを設置しています。
・「国内利用者数NO.1」
・「ビジネスチャット国内利用者数4年連続NO.1」
・「BOXIL SaaS AWARD 2021 コラボレーション部門1位」
出典:Chatwork
これらのマイクロコピーによって、ユーザーに“一番多く、しかも継続して使われていて、なにやら賞もとっているサービスらしい”というプラスイメージを与えています。
また、アプリプラットフォームYappliのCTAボタン下には、「継続率99%」「導入実績600社以上」というマイクロコピーが設置されています。
出典:Yappli
これらのマイクロコピーによって、ユーザーは多くの企業が利用しており満足度も高いサービスのようだと感じるでしょう。
以上の事例のように、ユーザーに信頼してもらうことができると、行動への障壁が格段に低くなります。
4-2. 口コミを紹介する
商品やサービスを利用している人の口コミを紹介するのも効果的です。
実際に経験した人のポジティブな感想は、同じように行動すればリスクが低いだろうという安心感につながるからです。
たとえば、顧客紹介プログラムプラットフォームのFriendbuyは、問い合わせフォームの近くに以下のような利用者の声を紹介しています。
出典:Friendbuy
また、「あなたは素晴らしい仲間です」というマイクロコピーと共に、既にサービスを利用している企業名を掲載しています。
これらのマイクロコピーが、利用者が成果を実感しているサービスであり、多くの企業に活用されているようだというイメージを与えます。
また、大手通販会社のOvertoomは、購入ボタンの周りに「商品に対する星評価」を追加したところ、売上が24%アップ(※6)しました。
合わせて送料や支払い方法についての説明も追加したため、星評価だけの成果だとは言い切れませんが、ユーザーの信頼獲得に大きな役割を果たしたのは間違いないでしょう。
星評価がよければ、ユーザーが“よさそうな商品だ”という思いを抱くのは想像に難くないからです。
これらの事例のように、商品やサービスに対する第三者からの評価を開示できると、ユーザーの“それなら自分もやってみよう”という気持ちを高めることができます。
(※6)マイクロコピーでアフィリエイトのクリック率を上げる方法(マイクロコピーライティング協会)
5.【ファンになってもらう】マイクロコピー3つの事例
最後にご紹介するのは、ファンになってもらうマイクロコピーの事例です。
以下のようなテキストによって、ユーザーの「この商品や企業は魅力的だ、応援したい」という愛着心を育てて、CVにつなげます。
5-1. ブランドの理念を表現する
ブランドの理念を表現することで、ユーザーに親近感や信頼感を感じてもらうと、“何かのときにはこの商品を利用しよう”と特別視してもらえる可能性が高まります。
たとえば、口コミサイトのYelpは、レビュー欄の最上部に「信頼性を重視しているためビジネスオーナーはレビューの削除や内容の変更はできません」というマイクロコピーを設置しています。
出典:Yelp
このマイクロコピーによって、Yelpが中立的な立場で真の口コミを発信しようとしていることが伝わります。その結果ユーザーは、この口コミなら参考になりそうだと思えるでしょう。
この事例のように、商品や企業の特徴・目指す姿をアピールできると、共感してくれるユーザーを増やすことができます。
5-2. ユーザーをサポートする
ユーザーをサポートすることで役に立ったと感じてもらうと、頼れる存在として頻繁に利用される可能性が高くなります。
たとえば、機械工業メーカーのHondaは、404エラーページに以下のマイクロコピーを設置しています。
「クルマ・バイクなどのページで一部アドレスが大文字になっていることがあります。
例:www.honda.co.jp/fit/ 〇www.honda.co.jp/Fit/ 」
出典:Honda
さらにその下部には、主なリンクメニューと、「問題点についてお知らせ下さい」のマイクロコピー&送信フォームも準備されています。
これらの工夫によってユーザーは、探していた情報に辿り着けなかった上に「これ以上どうにもできません」と突き放される虚しさを感じずに済みます。なぜなら、次の一手をガイドしてもらえるからです。
この事例のように、ユーザーの困りごとに寄り添うことができると、信頼できるパートナーとして認めてもらえるのです。
5-3. 遊び心を提供する
遊び心を提供すると、それがユーザーの楽しみとなって、繰り返しサイトを訪問してもらえるかもしれません。
たとえば、コンテンツ投稿サイトnoteの404エラーページでは、「note 404美術館」のマイクロコピーと共に、クリエイターの作品が表示されます。
出典:note
この仕掛けによって、思わず笑顔になるユーザーは少なくないのではないでしょうか。そして、“面白いサービスだ”と友好的に捉えてもらえるはずです。
ちなみに、この作品スペースにはリロードするたびに違うものが表示されるため、何度も楽しむことができます。
この事例のように、ユーザーのポジティブな感情を刺激することができると、商品やサービスに関心をもってもらいやすくなります。
6. できるだけ避けたいマイクロコピーのNGパターン4つ
ここまでマイクロコピーの優良事例をご紹介してきましたが、その反対のNGパターンも確認しておきましょう。
以下のようなマイクロコピーは、CVRを逆に低下させる危険性があるため、使用しないようにしてください。
それぞれの内容について、解説していきます。
6-1. CVRが低くなる「送信」は控えよう
まず注意したいのは、「送信」というマイクロコピーは他のものに比べてCVRが低くなる傾向があるということです。
4万を超えるランディングページを調査した結果によると、ボタンに「送信」というマイクロコピーを設置しているページは、他の表現を使用しているページよりもCVRが低い傾向にある(※7)ということがわかっています。
その理由については発表されていないのですが、結果は明らかなので避けた方がよさそうですね。
「送信」に代えて「問い合わせる」や「依頼する」などの具体的な表現を使用しましょう。 |
(※7)Don’t “Submit” To Landing Page Button Text(HubSpot)
6-2. スルーされてしまいがち「詳細はこちら」
「詳細はこちら」というマイクロコピーも、避けた方がよいでしょう。
なぜなら、何についての詳細なのかがユーザーに伝わらず、スルーされてしまう可能性が高いからです。
サイトの一字一句が時間をかけて読まれるケースは少なく、多くのユーザーは流し読みしています。そんなユーザーに対して「詳細はこちら」と示すことは、ページを戻って理解してくださいという不親切な依頼になりかねないのです。
ユーザーの行動を後押しするポイントは、ユーザーを煩わせないことです。そのため、「〇〇を見る」という風に一目でリンク先の内容がわかる表現にすることをおすすめします。 |
6-3. ユーザーを怯えさせる「フォローなしの決定ボタン」
ユーザーを「ここから先に進んだら取り返しがつかないかもしれない」と怯えさせるような決定ボタンも、よくありません。
具体的には、決定を下すことに対するフォローがない以下のような例です。
・注文内容の確認なしで「今すぐ購入する」
・有料か無料かわからない「申し込む」
・高額商品なのに「キャンセルや保障に関する記述がない」
・詳細な個人情報を求めるのに「プライバシーポリシーが不明」
このように、マイクロコピーが不適切だったり、必要なマイクロコピーが欠如していると、ユーザーは決定ボタンを押す勇気が出ずに離脱してしまいます。
ユーザーが安心して手続きを進められるように、不安や疑問を解消できるようなマイクロコピーを随所に設置しましょう。 |
6-4. 信頼を損なう「コピーとリンク先のミスマッチ」
マイクロコピーの表現とリンク先の内容のミスマッチも避けるべきです。
なぜなら、わざわざリンク先に飛んだのに求めていた情報とは違うものが表示されると、ユーザーは騙されたと感じてサイトへの信頼を失ってしまうからです。
たとえば、「今すぐ見る」というボタンを押したのに、次の画面でユーザー登録を促されたとしたらどうでしょうか?
今すぐ情報が得られないばかりか、そのつもりがなかったのに個人情報まで取られそうだと不信感を感じて、離脱してしまう可能性が高いですよね。
同じく、リンク切れにも注意が必要です。サイトの管理が行き届いていないと思われてしまうからです。
ユーザーに対して誠実なサイトであるように、リンク先の内容を忠実に表したマイクロコピーを設置することをおすすめします。 |
7. 事例からみるマイクロコピー成功のためのポイント
最後に、ご紹介した事例からみえてくる「マイクロコピー成功のためのポイント」について解説します。
以下のようなポイントをおさえると、マイクロコピーはその効果を発揮するでしょう。
それぞれの内容について、解説していきます。
7-1. データ分析の結果をもとに計画する
マイクロコピーを成功させるためにまず欠かせないのは、データ分析の結果をもとに計画するということです。
なぜならマイクロコピーは、サイト内に闇雲に設置しても効果を発揮しないから。適切なマイクロコピーをベストな場所に設置するためには、データ分析でサイトの現状を把握することが不可欠です。
具体的には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールでサイトへの訪問者数や滞在時間などを把握し、ヒートマップによって各ページでユーザーがどのような動きをしているのか分析しましょう。
たとえば、一定のアクセス数はあるのにCTAボタンが押されないという状況なら、ボタン周りにユーザーの行動をあと一押しするマイクロコピーが必要かもしれません。
また、申し込みフォームまではやってくるのにそこで離脱するユーザーが多いという状況なら、フォーム入力をサポートするマイクロコピーが有効な可能性があります。
そして、ベストなマイクロコピーを見つけるためには、効果のデータ分析も必要です。いくつかのパターンでユーザーの動向を比較し、最もCVRの高いものはどれか検証しましょう。
マイクロコピーで成果を上げている事例では、このようなデータ分析が行われ、その数値をもとに様々な検討がなされているのです。
7-2. ユーザーが主語のアクション表現を使う
ユーザーが主語となるアクション志向の表現を使うのも、マイクロコピーを成功させるための基本です。
アクション志向の表現は、ユーザーにその先へ進むかどうかということを自分事として認識させると共に、行動への意欲をかき立てます。
動画配信サービスU-NEXTの「今すぐはじめる」や、ゲームの開発・販売会社であるスクウェア・エニックスの「無料でためしてみる!」を見ると、“うん、やってみよう”という気持ちになりませんか?
まずは、自社サイトのCTAボタンをユーザーが主語となる表現に変更してみてはいかがでしょうか。
7-3. 簡潔で誰にでもわかる表現にする
マイクロコピーの表現を簡潔で誰にでもわかるものにするということも、マストです。
一息で読めて苦労せずにその意味を理解できるようにしておく配慮が、ユーザーの心を動かすことにつながるからです。
たとえばAppleの「M1があなたのデータを守る方法を見る」が「M1のセキュアブートとランタイムセキュリティ機能について見る」だったとしたら、どうでしょうか?
ユーザーにとっては何のことかわからない言葉の羅列に見えてしまい、これは自分の知りたい情報なのかどうか判断できずに、離脱してしまうかもしれません。
また簡潔さという点でも、一文にふたつの要素が入っているために、ユーザーがその全体的な意味を把握するのに時間がかかってしまう可能性があります。
だからこそマイクロコピーは、ユーザーがいつも使っている言葉を用いて、サッと読むだけでも意味が通るボリュームにすることが大切なのです。
マイクロコピーの適切な長さは状況によって異なる マイクロコピーには簡潔さが必要ですが、具体的に何文字がベストと言い切ることはできません。 何を伝えるかによって、テキストの長さは当然変わってくるからです。 また、とにかくテキストを短くしようして必要な要素が抜け落ちてしまっては、ユーザーに意図したことが伝わらず、本末転倒です。 大切なのはユーザーに最も伝わりやすい形にするということなので、テストを繰り返しながら最適な表現を探していきましょう。 |
7-4. ポジティブな言い回しを使う
マイクロコピーにはできるだけポジティブな言い回しを使うということも大切です。
ネガティブな表現をすると、よくない印象を受けて行動をストップしてしまうユーザーもいるからです。
たとえば、U-NEXTの「本日登録すると〇月〇日まで無料」は、その日まで楽しめる自分を想像させます。
しかし、もしこれが「〇月〇日からは費用が発生します」だったら、支払いが発生する未来がイメージされ、“うっかりその日を過ぎてしまったらどうしよう”という不安も生じるかもしれません。
また、スクウェア・エニックスの無料で「けっこう遊べる!」が、「一部の機能はお使いいただけません」だったとしたら、どうでしょうか?
一定の範囲でお試しできるという事実は同じなのに、“結局無料だとあまり楽しくないのだろう”という気持ちになってしまう可能性があります。
これらの事例をみると、ポジティブな言い回しの方がよいというのは一目瞭然ですよね。明確な意図がない限りは、ネガティブな表現のマイクロコピーは避けましょう。
7-5.「ユーザーの役に立つ」コピーを設計する
最後に、必ず心に留めておいていただきたいのは、マイクロコピーはユーザーの役に立つために設計すべきだということです。
ユーザーに行動してほしいがためにそれを促すような表現を多用しても、自分の意志で自由に判断できないという息苦しさを感じれば、ユーザーは離れて行ってしまいます。
この記事でご紹介した事例は、ユーザーの不安や困りごとに寄り添い、自然と前向きな気持ちになれるように設計されています。
とにかくユーザーファーストで設計されたマイクロコピーこそが、ユーザーを惹きつけ、その行動を後押しするのです。
8. まとめ
コンパクトなテキストでありながら、ユーザーの行動を後押しすることでサイトのCVR向上を目指すマイクロコピー。そのやり方には、以下5つのパターンがあります。
この記事では、上記5つのパターンごとにマイクロコピーの優れた事例をご紹介しました。各見出しは以下のように、「効果的なマイクロコピーを作るために何をすべきか」という表現になっているため、そのまま行動リストとしてお使いいただけます。
逆に、以下のようなマイクロコピーはCVRを低下させる危険性があるため、使用しないほうがよいでしょう。
ご紹介した事例からみえてくる「マイクロコピー成功のためのポイント」には、以下のようなものがあります。
マイクロコピーは、サイトからの集客における強力なサポーターになります。ぜひ本記事の内容を参考に、あなたのサイトでも活用してみてください。