「マーケティングでレコメンド機能が有効と聞いたけど、知識がなくてどうすればいいのかわからない」
このようにお悩みなのではないでしょうか。
「レコメンド」とは日本語に直訳すると「推奨する」「勧める」を意味する言葉です。
そしてマーケティング用語における「レコメンド」とは、ユーザーの好みに合わせた商品を提示して購買を促進する事を指します。
ユーザーの購入履歴や閲覧履歴から興味がありそうな商品を判断し、WEBサイトの通知やメールの内容に反映させる事で、購入の意欲を向上させるマーケティング施策です。
しかし、レコメンド機能はツールを使ってすぐに実施できる施策ではありません。
適切にマーケティングに活かすためには「レコメンドエンジン」や「レコメンドロジック」などの概念を理解しておく必要があるのです。
レコメンドエンジンとはレコメンド機能を実行してくれるシステムの種類の事です。
レコメンドをマーケティングで活用しようと思った場合、以下3つの代表的なレコメンドエンジンの導入や機能の利用を検討しなければなりません。
- ASP型のレコメンドエンジン
- オープンソース型のレコメンドエンジン
- ECシステムのレコメンド機能
ただし、上記のレコメンドエンジンの他に、以下の6つのレコメンドロジックも理解していなければ、自社に合うレコメンドを実践することは難しいです。
ロジックとは、レコメンドにおける条件設定のようなもので、そのように商品をおすすめするのかを決めるための分類です。
レコメンドエンジンの種類によって搭載されているロジックは異なります。そのため、ロジックを理解していないとレコメンドエンジンの選定を間違えてしまう可能性があります。
そこで、この記事では以下4つのステップと16のポイントについて詳しく解説します。
・STEP1 6つのレコメンドロジックを知る
・STEP2 レコメンドを始める3つの方法を知る
・STEP3 レコメンドエンジンの3つの選定方法を知る
・STEP4 4つのおすすめレコメンドエンジンを知る
この記事を読むことで、レコメンドのロジックが理解でき、自社に合うレコメンドエンジンの選び方がわかります。
また、おすすめのレコメンドエンジンも紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.STEP1 6つのレコメンドロジックを知る
レコメンドには、どのような方法で商品をおすすめするのかをを決めるための分類があります。その分類はレコメンドにおける条件設定のようなもので、ロジックと呼ばれます。
選ぶロジックによって表示される商品が変わるため、レコメンドをマーケティングで活用するのであればロジックを理解しておくことが重要です。
レコメンドのロジックには、主に以下の6種類があります。
どのようにレコメンドをおこなうかを決めるためにも、それぞれのロジックの特徴を理解しましょう。
1-1.ECサイトが初めての人はルールベース
■おすすめの人 ・ECサイトをはじめたばかりの人 |
ルールベースとは、流入経路や顧客のセグメントなどのルールによって、コンテンツを出し分ける方法です。運営者が売りたい商品を表示させることができます。
ただし、ユーザーを分析したレコメンドではないため、ユーザーの嗜好とレコメンドの内容が合わない可能性があります。そのため、セグメントごとにABテストなどを実施し、効果のあるコンテンツを表示させるのが一般的です。
ECサイトの運営を始めたばかりで顧客データが少ない場合には、活用しやすいロジックだと言えるでしょう。
■ルールベース例 ・クリスマス特集の広告から流入してきたユーザーに対し、クリスマスギフトをレコメンドする |
1-2.購買率を上げるならコンテンツベースフィルタリング
■おすすめの人 ・購買率を向上させたい人 |
コンテンツベースフィルタリングは、商品の属性を分析し、類似属性の商品をレコメンドする方法です。
運営者は、商品をデザイン・種類・ブランドなどさまざまな属性で分類しておきます。
表示されたレコメンドがユーザーの嗜好と一致すれば高い購入率が期待できるでしょう。
ユーザーに類似属性の商品を比較してもらうことで、購買率を向上させることも可能です。
ただし、商品数が増えるほど商品の属性を分類する手間が増えたり、同じような商品ばかり表示されてしまい目新しさを感じられなくなったりするケースもあります。
◾️コンテンツベースフィルタリングの例 ・あるブランドのTシャツを見ていたユーザーに、同じブランドで別デザインのTシャツをレコメンドする |
1-3.顧客単価を上げるなら協調フィルタリング
■おすすめの人 ・顧客単価を上げたい人 |
協調フィルタリングは、ユーザーのアクセス履歴などの行動履歴に基づいてレコメンドを行う方法です。コンテンツ情報は必要なく、リソースがあまりかからず導入しやすいという特徴があります。
ユーザーの行動履歴データが充分に蓄積されている場合、効果的なレコメンド方法と言えるでしょう。
協調フィルタリングの方法は以下の2つに分類できます。
・アイテムベース
・ユーザーベース
ではこの2つの違いについて見てみましょう。
1-3-1.アイテムベース
アイテムベースは、ユーザーが閲覧・購入した商品と一緒に購入されることが多い商品をレコメンドします。
ユーザーに関連商品などの購入を促すのに効果的です。
ただし、新しい商品の追加や商品の入れ替えがあった場合、追加された商品が別の商品と一緒に購入されたり閲覧されたりしなければ、レコメンドに表示されないというデメリットがあります。
◾️アイテムベースの例 ・ワイシャツを購入したユーザーに、そのワイシャツと一緒に購入されることが多いネクタイのレコメンドが表示される |
1-3-2.ユーザーベース
ユーザーベースは、ユーザーの購入パターンに近い他のユーザーを探し、レコメンドする方法です。
購入パターンが近いということは、嗜好が似ている可能性が高いため、効果的なレコメンドができるでしょう。
ただし、新規ユーザーの場合は行動履歴のデータが少ないため、この方法は向きません。
◾️ユーザーベースの例 ・ワイシャツを見ているユーザーに、購入傾向が近い他のユーザーが購入したネクタイのレコメンドが表示される |
1-4.採用率ナンバーワンのハイブリッドタイプ
■おすすめの人 ・顧客満足度を高めたい人 ・パーソナライズされたレコメンドを行いたい人 |
ハイブリッドタイプは、ここまで紹介したロジックを組み合わせるレコメンド方法です。それぞれの方法ではデメリットがありましたが、そのデメリットを異なるアプローチのレコメンドで補う目的で活用されます。
ロジックを組み合わせることで、よりユーザーに最適なレコメンドを行うことが可能です。
◾️ハイブリッドタイプ例 ・羽毛布団を購入する人は一緒にカバーを購入する傾向にある。あるユーザーが羽毛布団を閲覧している際に、そのユーザーがよく服などで好んで購入している紺色のカバーのレコメンドが表示される。 |
1-5.ユーザーの選択肢を広げたいなら画像・音声解析レコメンド
■おすすめの人 ・購買率を上げたい人 |
最近では、画像や音声を解析してレコメンドを行う方法もあります。具体的には、ユーザーが閲覧・視聴している商品に対して、似ている商品をレコメンドして購買率を向上させます。
例えば、ユーザーが洋服を見ていたとします。しかし、閲覧したアイテムはユーザーのイメージとやや異なります。そのような場合に似ている商品がレコメンドされれば、ユーザーがイメージしている商品を見つけることができ、購買率の向上に繋がるのです。
総合ファッションアパレル企業の三陽商会では、ECサイトでこのレコメンド機能を試験的に搭載しました。すると、購買率が3倍も高まったそうです。
◾️画像・音声解析レコメンド ・画像:花柄のワンピースを閲覧していたユーザーに、花柄で似たような色彩のワンピースのレコメンドが表示される ・音声:ユーザーが好んで聴いている楽曲に似た信号を持つ楽曲のレコメンドが表示される |
1-6.潜在的なニーズを満たすグラフAI技術
■おすすめの人 ・同系統の商品やサービスを数多く提供している人・顧客満足度を高めたい人 |
グラフAI技術とは、ディープラーニングをグラフデータに落とし込むことで、隠れた関係性を見つけ出す方法です。
この技術を解説すると、非常に難しく複雑になってしまいます。
わかりやすい例を挙げると、Netflixがこのレコメンド機能を採用しており、意外性のある映画やドラマがおすすめされています。
AIがユーザーに似た傾向のある他のユーザーや嗜好性を細かく分析し、レコメンドを行います。そのため、ユーザーにパーソナライズされたレコメンドを表示することができ、ユーザー自身も気付いていない潜在的な欲求を満たす商品やサービスをおすすめすることが可能です。
このレコメンドロジックを採用している企業の特徴として、同系統の商品やサービスを数多く提供しているという点です。
例えば、
・Netflix:動画の配信
・UberEats:レストラン情報や料理の提供
・不動産会社:物件情報の提供
などです。
同系統の商品やサービスが数多くあると、ユーザーは選定しきれないケースがあります。そのような場合にAIでパーソナライズされたレコメンドをすることで、顧客満足度や購買率を向上することができるでしょう。
2.STEP2 レコメンドを始める3つの方法を知る
レコメンド機能を自社サイトに実装するためには、以下の3つの方法があります。
方法 | 特徴 |
---|---|
ASP型のレコメンドエンジンを実装 | ASPと契約してレコメンドエンジンを導入するため、初期費用を押さえた導入が可能 |
オープンソース型のレコメンドエンジンを実装 | サーバーを用意して自社でレコメンドエンジンを構築するため自由度が高い |
ECシステムのレコメンド機能を利用 | 利用中のECサイトに搭載されているレコメンド機能を活用するため、費用がかからない |
それぞれ、価格や機能などの特徴が異なるので、違いを理解しておきましょう。
2-1.初期費用を押さえたASP型のレコメンドエンジンを実装
多くのサイトで用いられているのが、既存のシステムにASP型のレコメンドエンジンを導入する方法です。
ASP型のレコメンドエンジンの特徴は以下の通りです。
・自社サーバーが不要
・初期費用を抑えることができる
・自社に合わせたカスタマイズはできない
・タグの設置などの初期設定をすればレコメンドを開始できる
ASP型のレコメンドエンジンは数多くあり、選ぶレコメンドエンジンによって搭載されているロジックなどの機能も価格も異なります。
契約前に、機能・価格の確認や、運営方法などを必ずチェックしましょう。
※ASPとは、「アプリケーションサービスプロバイダー」の略です。インターネット上でアプリケーションを提供するサービス事業者を指し、提供されるソフトウェアやサービスをASPサービスと言います。 |
2-2.自由度の高いオープンソース型のレコメンドエンジンを実装
オープンソース型のレコメンドエンジンは、自社にサーバーを用意して、運営から管理まですべて自社で行います。
オープンソース型の特徴は以下の通りです。
・フルカスタマイズができ、独自の機能を実装できる
・サーバースペースが必要
・構築に多くの時間や費用が必要
Amazonのような大手ECサイトではオープンソース型が導入されており、中規模以下のECサイトではASP型が導入されているケースがほとんどです。
2-3.無料のECシステムのレコメンド機能を利用
ECシステムには、レコメンド機能が付帯しているタイプがあります。
ECシステムのレコメンド機能には、以下のような特徴があります。
・コストがかからない
・専門的なレコメンドエンジンよりも機能が劣る傾向がある
ECシステムのレコメンド機能を確認した上で、必要であればレコメンドエンジンの導入を検討しましょう。
3.STEP3 レコメンドエンジンの3つの選定方法を知る
多くの企業がASP型を導入していると解説しましたが、ASP型のレコメンドエンジンにもさまざまなものがあります。
自社に合わないレコメンドエンジンを選んでしまうと、機能が足りなかったり、コストがかかり過ぎたりする可能性があります。
自社で導入するレコメンドエンジンの選定方法を解説しますので、導入時の参考にしてください。
3-1.導入目的を明確にする
まず、レコメンドエンジンを導入する目的を明確にしてください。
購買率の向上・顧客単価の向上・CVRの向上など、企業によって導入する目的は異なるでしょう。
例えば、以下のように目的に合わせてロジックを選ぶ必要があります。
ロジック | 目的 |
---|---|
ルールベース | 顧客単価向上 |
コンテンツベースフィルタリング | 顧客単価向上 購買率向上 |
協調フィルタリング | 顧客単価向上 |
ハイブリッドタイプ | 顧客単価向上 顧客満足度向上 |
画像・音声解析レコメンド | 購買率向上 顧客満足度向上 |
グラフAI機能 | 購買率向上 顧客単価向上 顧客満足度向上 |
これらは一例なので、企業によって上記以外を目的にするケースもあるでしょう。そのような場合でも、最初に目的を明確にしておくことで、どのような機能が必要かがおのずと判断できるようになります。
3-2.搭載機能/工数を確認
導入目的が定まったら、必要な機能を搭載したレコメンドエンジンをピックアップしましょう。
ピックアップが完了したら、不要な機能を多く搭載したオーバースペックなレコメンドエンジンを除外しましょう。搭載機能が多いということは、その分コストも高額になります。
この時、運用にかかる工数も確認して、自社で問題なく取り入れられるかもチェックしてください。
3-3.アクセスに対する料金を確認
多くのレコメンドエンジンは、サーバーへのアクセス数や表示回数によって料金が変動する従量課金制のものがあります。
そのため、サイトのアクセス数から必要になるコストを算出し、予算内におさまるかを確認しましょう。
また、アクセス数が増えることを想定し、将来的にどの程度のコストがかかるかも計算しておきましょう。
4.STEP4 4つのおすすめレコメンドエンジンを知る
最後に、数あるレコメンドエンジンの中から、おすすめをASPレコメンドエンジンを4つご紹介します。
ロジックの種類 | 料金 | |
---|---|---|
NaviPlusレコメンド | 行動履歴分析(協調フィルタリング) アイテム属性分析(テキストマイニング) 訪問者導線分析 訪問者属性分析 | 初期費用:200,000円 月額費用:120,000円~ |
コンビーズレコ | 閲覧情報レコメンド 購入情報レコメンド 関連商品レコメンド 定期購入商品 注目商品の表示 新着商品の表示 ランキング表示 掘り出し物表示 ミックスレコメンド サイトリターゲティング 閲覧履歴の表示 | 初期費用:50,000円 月額費用:39,800円~ |
さぶみっと!レコメンド | パーソナライズレコメンド PV・CVレコメンド機能 ランキング機能 カート内レコメンド機能 レコメンドメール機能 閲覧履歴 新着表示 ピックアップ | 初期費用:99,000円 月額費用:39,000円~ |
ECレコメンダー | 履歴情報の収集 行動履歴の分析 協調フィルタリング テキストマイニング | 初期費用:5,217円~ 月額費用:5,217円~ |
NaviPlusレコメンドは導入サイト数500件を超える、運用実績が豊富で高機能なレコメンドエンジンです。
行動履歴・訪問者導線・アイテム属性・訪問者属性を反映した、パーソナライズされたレコメンドを提供できます。
パーソナライゼーションを強化することで、売上や顧客単価の向上だけでなく、顧客満足度のアップも期待できます。
特徴 | パーソナライズ化を支援する高性能エンジン 4つのレコメンドロジックを元に商品のレコメンド情報を生成 PDCAサイクルを円滑に回せる機能を搭載 各種ECシステムやASPサービスとの連携が充実 |
費用 | 初期費用:200,000円 月額費用:120,000円~ |
公式サイト | https://www.naviplus.co.jp/recommend.html |
4-2.コンビーズレコ
コンビーズレコは、20,000社以上に導入された実績を持つレコメンドエンジンです。クリック課金制を採用しており、費用対効果が高いという点が特徴です。
Webとメールの両方でレコメンドを提供することができ、メール配信システムとの連携が不要でメール配信を自動化できます。
特徴 | 人工知能が自動で最適化離脱防止のリターゲティングも豊富タグを貼るだけの簡単導入メール配信を自動化 |
費用 | 初期設定費用:50,000円 月基本使用料:39,800円~ クリック課金:0円~ ※毎月3,000クリックまで0円 スポット配信メール:0円~ ※毎月1回配信まで0円 |
公式サイト | https://reco.combz.jp/ |
4-3.さぶみっと!レコメンド
さぶみっと!レコメンドは、手軽さを重視した簡単で使いやすいレコメンドエンジンです。
機能の使いやすさだけでなく、サイトの回遊率・CVアップ・ユーザーの再来訪に貢献する、さまざまな機能を搭載しています。
また、データが不足している状態でも、商品を自動補填して表示する独自の機能を採用しているため、最短1週間で導入可能です。
特徴 | 50種類以上のデザインテンプレート レコメンドメール機能搭載 難しい設定が不要で簡単に導入可能 |
費用 | 初期費用:99,000円 【月額費用】 20万PVまで:39,000円 50万PVまで:59,000円 100万PVまで:79,000円 1,000万PVまで:99,000円 |
公式サイト | https://www.submit.ne.jp/recommend |
4-4.ECレコメンダー
ECレコメンダーは、月額5,000円以下から始められるレコメンドエンジンです。月額料金は安くても、基本的なロジックのレコメンド機能を利用できます。
レコメンドエンジンは導入したいけれど、コストはあまりかけられないという企業におすすめです。
特徴 | 最安値のレコメンドエンジン ハイブリッドレコメンド機能搭載 |
費用 | エントリープラン(初期費用):4,743円 エントリープラン(月額費用):4,743円 ベーシックプラン(初期費用):9,500円 ベーシックプラン(月額費用):10,000円 ベーシックプラン(初期費用):19,000円 ベーシックプラン(月額費用):20,000円 |
公式サイト | https://recommend.ec-optimizer.com/standard/ |
まとめ
レコメンドのロジックには、主に以下の6種類があります。
レコメンドエンジンによって搭載されている機能が異なるので、ロジックを理解して自社に必要な機能は何かを検討しましょう。
レコメンドをマーケティングで活用するためには以下の方法があります。
・ASP型のレコメンドエンジンを実装
・ECシステムのレコメンド機能を利用
・オープンソース型のレコメンドエンジンを実装
ASP型のレコメンドエンジンを採用するサイトがほとんどです。
レコメンドエンジンを選ぶ際には、次のポイントを確認しながら選定しましょう。
・導入目的
・搭載機能/工数
・アクセスに対する料金
最初に導入目的を明確にしておくことで、必要な機能が何かもわかりやすくなります。自社の目的に合うレコメンドエンジンを、機能・コスト・工数で比較して選びましょう。