「YouTube広告の運用が、うまくいかない……」
と悩んだとき、確認してほしいことがあります。
YouTube広告の運用に失敗する人の多くが、見落としているポイントがあるのです。
- YouTube広告フォーマット特有の「癖」を知らない
- 競合他社と最新クリエイティブの「リサーチ」を十分にできていない
- Googleの「機械学習」のすごさを知らない
- YouTube広告が視聴される「環境の変化」を見落としている
- 運用業務を「効率化できるツール」の存在を知らない
この記事では、事前の知識で失敗を回避できるように、上記5つの見落としポイントを詳しく解説します。
必要な情報を効率よくインプットし、YouTube広告の運用を軌道に乗せていきましょう。
目次
1. YouTube広告フォーマット特有の「癖」を知らない
YouTube広告の運用で失敗する人が見落としているポイントの1つめとしてご紹介するのは、「YouTube広告フォーマット特有の癖を知らない」です。
1-1. YouTube広告の“癖”を知らないと運用がうまくいかない
YouTube広告は、フォーマットのバリエーションが多く、
「たくさんあって、何がなんだかわからない」
と、取っ付きにくい印象があります。
しかし、全容を把握しておかないと、失敗しやすくなります。YouTube広告のバリエーションには、癖(特有の特徴)があるためです。
ある程度の期間、運用を続けて理解が進んでから、
「もっと効率的な方法があったのに……」
と、後悔するケースが後を絶ちません。
以下で、YouTube広告のフォーマットをご紹介します。まずは確認しておきましょう。
1-2. 動画再生ページの4つのフォーマット
まず、「YouTube動画の再生ページ」に配信される広告として、4種類があります。
フォーマット | 説明 | プラットフォーム | 仕様 |
---|---|---|---|
スキップ可能な動画広告![]() | 広告が 5 秒間再生された後、視聴者は広告をスキップできます。 | パソコン、モバイル デバイス、テレビ、ゲーム機 | 動画プレーヤー内で再生(5 秒後にスキップ可能)。 |
スキップ不可の動画広告![]() | スキップ不可の動画広告は、最後まで見ないと動画を視聴することができません。 | パソコン、モバイル デバイス、テレビ、ゲーム機 | 動画プレーヤー内で再生地域の標準に応じて 15 秒または 20 秒 |
バンパー広告![]() | 最長 6 秒のスキップ不可の短い動画広告で、最後まで再生しないと動画を視聴することができません。スキップ可能広告またはスキップ不可広告を有効にしている場合、バンパー広告も有効になります。 | パソコン、モバイル デバイス、テレビ、ゲーム機 | 動画プレーヤー内で再生、最長 6 秒。 |
オーバーレイ広告![]() | オーバーレイの画像広告またはテキスト広告が、動画の再生画面の下部 20% に表示されます。 | パソコンのみ | サイズは 468×60 または 728×90 ピクセル |
出典:YouTube ヘルプ
上記の広告掲載の有効/無効は、動画を収益化しているYouTuberであれば、YouTube Studio(YouTubeの管理分析ツール)でコントロールできます。
広告主としては、YouTuberが広告掲載を無効にしていない動画に対して、上記の広告を配信できる、と覚えておきましょう。
1-3. 【重要】動画広告の3種類と使い分け戦略
動画広告は、「インストリーム広告/アクション広告/バンパー広告」の3種類を、どう使い分けるか?が、重要ポイントです。
- (1)インストリーム広告:認知向上戦略に使い勝手がよい
- (2)アクション広告:コンバージョン重視の戦略で重要
- (3)バンパー広告:露出量重視の戦略のとき検討する
それぞれ解説します。
(1)インストリーム広告:認知向上戦略に使い勝手がよい

インストリーム広告はYouTube広告の代表的な存在で、認知拡大から、商品やサービスの検討、オンラインでの行動喚起まで、幅広い目的で使用されています。
▼ インストリーム広告の特徴
- ユーザーが動画を30秒以上(30秒未満の動画広告の場合は最後まで)再生した場合、または動画広告をクリックした場合のみ、課金される
- スキップボタン(再生開始から5秒間経過すると表示される)が押された場合は、課金されない

インストリーム広告は、
「ユーザーに認知されても、興味を示す行動(=30秒以上の視聴またはクリック)がされなければ、課金されない」
という特徴を持っています。
この癖を、よく理解しておくことが大切です。
テレビCMの長さは基本が「15秒」であることを考えると、30秒未満の無課金の視聴時間であっても、ユーザーに効果的な影響を与えることはあります。
インストリーム広告は、費用を抑えながら認知向上を目指すときに、活用したい広告といえます。
(2)アクション広告:コンバージョン重視の戦略で重要

アクション広告は、その名のとおり、「ユーザーにアクションさせる」ことにフォーカスした設計になっています。
▼ アクション広告の特徴
- インストリーム動画広告の再生中と再生後に、テキストの見出しと行動喚起のフレーズでアクションを喚起する
- 機械学習を活用した入札戦略で、コンバージョン(成果)に至りやすいと判断されたユーザーに優先して表示される
CTA(Call To Action:行動喚起)そのものを広告化して、YouTube動画に差し込むフォーマットとなっているのが特徴です。

機械学習によって、コンバージョンに至りやすいユーザーへ優先的に表示されることも、知っておきましょう。
実際に
〈アクション広告は、インストリーム広告よりも3倍のクリックが発生し、CPAが40%低い〉
というデータがあります(出典:YouTube広告ガイドブック)。
(3)バンパー広告:露出量重視の戦略のとき検討する

バンパー広告は、再生時間6秒以内の短尺で、スキップできない動画広告です。
前述のインストリーム広告、アクション広告とは異なり、インプレッションに対して課金されます。
メディアジャック(*1)のように、できるだけ露出量(インプレッション数)を増やすことが重要な戦略のときには、バンパー広告が選択肢のひとつとなるでしょう。
あるいは、行政・自治体の広報やリコール告知など、多くの人にリーチすべき事案にも、適しています。
*1:メディアジャックとは、新聞・雑誌や車両の広告スペースなどをすべて一社が買い取る方法(出典:情報・知識 imidas)。
1-4. 補足:動画再生ページ以外の3つのフォーマット
補足として、動画再生ページ以外に掲載される広告フォーマットとして、以下があります。
フォーマット | 説明 | 表示場所 |
---|---|---|
インフィード動画広告![]() | ユーザーが動画コンテンツを見つける場所(YouTube の関連動画の横、YouTube 検索結果、YouTube モバイルのトップページなど)で動画をアピールするために使用します。 | YouTube 検索結果YouTube の関連動画の横YouTube モバイルのトップページ |
アウトストリーム広告![]() | より多くの顧客にリーチできるよう、モバイルで動画広告のリーチを拡大するときに使用します。 | モバイル専用(モバイルウェブのバナー、モバイルアプリのバナー、インタースティシャル、インフィード、ネイティブ形式) |
マストヘッド広告![]() | YouTube ホームフィードに表示されるネイティブの動画広告フォーマットを使って、すべてのデバイスでブランド、商品、サービスを宣伝できます。 | YouTube ホームフィードの上部 |
より詳しくフォーマットについて知りたい方は、Google公式の「動画広告フォーマットの概要」が参考になるでしょう。
2. 競合他社と最新クリエイティブの「リサーチ」を十分にできていない
続いて、YouTube広告の運用で失敗する人が見落としている、2つめのポイントを見ていきましょう。
「競合他社や最新クリエイティブのリサーチを、十分にできていない」ことが挙げられます。
2-1. 役立つ「既存の知」を収集しないと勝てない
YouTube広告を実際に運用してみると、
「自己流で正解にたどり着けるほど、甘くない」
と、多くの方が痛感するはずです。
すでに先人たちが研究した「既存の知」を、できるだけ多く収集する必要があります。

ただし、ひとつ注意しなければならない点があります。
「YouTube広告のTips」はネット上に大量に出回っていますが、そのまま真似しても、なかなか結果に結びつかないのです。
その理由は、自社の業界や商材には当てはまらなかったり、情報が古かったりするからです。
自社にとって役立つ「既存の知」を収集する必要があります。
2-2. 競合他社の広告を視察
成果が上がる「既存の知」はどこにあるのかといえば、自社と類似した特徴を持つ、競合他社の出稿広告に詰まっています。
「汎用的な一般情報」ではなく、「自分の業界、自分の商材、競合他社」に特有の情報を収集しましょう。
先ほどご紹介した広告フォーマットを念頭に置きつつ、自社の競合となる企業・ブランド・商品の広告を視察してください。
自社と類似した広告主は、どのフォーマットに、どんなクリエイティブを出稿しているのか、メモを取って記録しながら、リサーチしていきましょう。
▼ 競合の分析メモの観点
- テイスト:広告色が強い、オーガニックテイスト、アニメ、実写、他
- 切り口:共感ネタ、日常、コメディ、商品訴求、悩み、流行、他
- 人が登場する/しない
- 有名人やインフルエンサーが登場する/しない
- 最初の5秒の使い方
- 商品やサービス要素の出し方(何秒から?)
- 質問を問いかける/問いかけない
- 使用している素材(撮影素材、フリー素材、他)
- ポジティブな感情を表現/ネガティブな感情を表現
- その他
上記メモは一例ですが、細かく要素分解しながら競合のクリエイティブを分析するよう、意識してください。真似すべきポイントが見えてくるはずです。
2-3 競合他社の広告を出現しやすくするテクニック
「競合他社の広告に、なかなか遭遇せずに、リサーチが進まない」
という場合には、自身がリマーケティングの対象となるように行動しましょう。
YouTube広告では、以下のリマーケティング(特定のユーザーを追いかけて広告を表示する)が可能です。
- チャンネル動画の視聴者
- 検索広告やディスプレイ広告のクリックユーザー
- 自サイトへの訪問者
Cookieを拒否しない設定にしたブラウザを利用して、以下のアクションを行い、リマーケティングの対象となれば、広告が表示されやすくなります。
- 競合他社のチャンネル動画を視聴する
- ランディングページを訪れる
- リスティング広告をクリックする
2-4. 優れた事例のお手本集「YouTube Works Awards」
次に、「新しいYouTube広告のトレンド」を知るうえで、チェックしておきたいのが「YouTube Works Awards」です。
「YouTube Works Awards」は、YouTube で高い効果を獲得した動画広告を表彰する広告賞です。イギリスで始まり、アメリカなど世界各国で開催され、日本では 2021年5月に初開催されました。
受賞広告の一部は、「YouTube Works Awards Japan 2021」や、「YOUTUBE WORKS AWARDS JAPAN 2022 | ダイジェスト」にて確認できます。
2022年の受賞作品およびファイナリストの事例はこちら(全143ページのPDFファイル)で、詳しく解説されています。

出典:YouTube Works Awards Japan 2021 受賞作品及びファイナリスト事例紹介
3. Googleの「機械学習」のすごさを知らない
次に、3つめの見落としポイントとして「Googleの機械学習のすごさを知らない」を見ていきましょう。
3-1. ベテラン担当者ほど損している可能性がある
このポイントは、長年Web広告に携わってきたベテラン担当者ほど、損している可能性があります。
ベテラン担当者に多い失敗は、広告配信するターゲットを手動で細かく絞り込んで設定し、自分の思うとおりにコントロールすることです。
昔からマーケティングの世界でいわれてきた、
「ターゲットを、明確に設定するべき」
「ターゲットは、絞り込むべき」
というセオリーは、YouTube広告では最適解ではないケースが多々あります。
その理由は、Googleが2006年にYouTubeを買収してから、YouTubeはGoogleの機械学習を使って、広告のターゲットを定められるように、大きな進化を遂げてきたからです。
Googleは、AIと機械学習の世界的な権威として、有力な企業です。
▼ 参考:Googleと機械学習

出典:Google Cloud
3-2. YouTube広告の運用は機械学習のポテンシャル最大化に注力する
経験豊富なベテラン担当者であっても、Googleの世界最先端の機械学習に勝つのは難しいでしょう。
人間の力で、ターゲットを細かくコントロールしようとするよりも、
「機械学習のポテンシャル最大化に注力する」
と意識を変えることで、成果を出しやすくなります。
3-3. 機械学習を活用できる2つの機能
Googleの機械学習を、より積極的に活用するために活用したい、2つの機能をご紹介します。
(1)動画リーチキャンペーン
2019年に、GoogleはYouTube広告の次世代ソリューションである「動画リーチキャンペーン」を発表しました。
動画リーチキャンペーンは、機械学習を活用して広告フォーマットの「最も効率的な組み合わせ」を自動的に提供する機能です。
マーケティング担当者が、ターゲットごとに広告を調整する手間が省略でき、費用対効果が高まるように最適化されます。
▼ 動画リーチキャンペーンのメリット
- リーチ目標を達成
動画リーチ キャンペーンは、リーチ目標に合わせて最適化されます。より多くのユニーク ユーザーにリーチすること(バンパー広告もしくはスキップ可能なインストリーム広告を使用、またはこれら 2 つの広告タイプを組み合わせる)、またはリーチしたユーザーにメッセージを最後まで伝えること(スキップ不可のインストリーム広告を使用)を目標として選択できます。 - より多くのユニーク ユーザーにリーチする方法を柔軟に選択
複数の広告フォーマットを併用できるため、最も効率的にユニークリーチを最大化できます。または、メッセージのタイプに合ったフォーマットを個別に選択することもできます。 - 成果を高める
異なる広告フォーマットを組み合わせた動画リーチ キャンペーンでは、さまざまなシグナルを使用して、ブランドのパフォーマンスと費用対効果を高めるようリアルタイムで最適化されます
動画リーチキャンペーンの作成方法は、Google公式サイトの「動画リーチ キャンペーンを作成する」をご覧ください。
(2)スマート自動入札
スマート自動入札は、機械学習を使用してコンバージョンの最適化を行う入札方法です。
▼ スマート自動入札のメリット(一部抜粋)
- 高度な機械学習
単価設定では、機械学習アルゴリズムが極めて広範なデータを学習するため、さまざまな入札単価でのコンバージョン数やコンバージョン値をアカウントでより的確に予測できるようになります。このアルゴリズムでは、ユーザーが算出するよりも多様で、掲載結果に影響を与えるパラメータが考慮されます。 - コンテキストに基づくさまざまなシグナル
オークションごとの自動入札機能では、入札単価の最適化の際にさまざまなシグナルが考慮されます。シグナルとは、個々のユーザーやオークション時のコンテキストを特定できる属性のことで、デバイスや地域など、手動の入札単価調整に利用できる属性のほか、スマート自動入札固有のシグナルとその組み合わせが該当します。
スマート自動入札の実践方法は、Google公式サイトの「スマート自動入札について」をご覧ください。
3-4. 精度を上げやすくして再チャレンジ
補足として、
「以前、スマート自動入札などの機能を利用したが、成果が出なかった」
という方ほど、再度、チャレンジしてみることをおすすめします。
機械学習の精度は年々上がっていて、成果が出なかった時期と現在では、得られる成果が異なる可能性があるためです。
機械学習の精度を上げやすくするために、以下のポイントを改善しつつ、実行してみてください。
▼ 機械学習の精度を上げるコツ
- 機械学習のためのデータが十分に蓄積されるまで、最低1ヶ月以上の期間をとる。
- 学習期間中は変更を加えない(学習内容がリセットされて最初からやり直しになることがあるため)
- 1ヶ月に30回〜50回以上のコンバージョンを獲得できるレベルの予算を投下して、より多くのデータを収集する(学習後は予算を下げてよい)。
- 多様な広告セットを準備する。クリエイティブのバリエーションが多いほうが、効果的なパターンの発見が早くなりやすい。
- 目標単価が低すぎたり、ターゲティング範囲が狭すぎたりすると、データ蓄積に時間がかかるため注意する。
▼ 参考:スマート自動入札の機械学習プロセス

4. YouTube広告が視聴される「環境の変化」を見落としている
4番目のポイントは「YouTube広告が視聴される環境の変化を、見落としている」です。
4-1. YouTubeのユーザー=モバイルという勘違い
「YouTubeのユーザーは、モバイル(スマホやタブレット)だから、モバイル向けにクリエイティブを作るべき」
というのは、2010年代まで正解でした。しかし、2020年代以降になると、新しい動きが観測されています。
それは「テレビでYouTubeを視聴する」という習慣です。
Googleの記事によれば、米国では、
〈インターネットに接続されたテレビ(コネクテッドテレビ)を持つ世帯は 83% に上る〉
といい、この流れは日本にも、着実に浸透しています。
4-2. 月間2,000万人以上がテレビ画面でYouTubeを視聴
日本では、2021年3月時点で月間 2,000 万人以上がテレビ画面で YouTube を視聴しています。
「自分専用のスマホで、1人で視聴する」というスタイルだけでなく、「家族で一緒に」「家事をしながら」など、YouTubeの利用シーンが多様化していることを知っておきましょう。
4-3. 重要なのは“最新の変化に気づいている”こと
ここでお伝えしたいのは、“テレビで視聴する人が増えている”という事実以上に、
「YouTube利用シーンの変化を、いち早くキャッチしたうえで、広告運用に取り組んでいるか?」
という視点です。
テレビでの視聴は、本記事執筆時点での新しい情報としてご紹介しましたが、また状況は変わるかもしれません。
いち早く情報をキャッチするためにチェックしておきたいサイトをひとつ、ご紹介します。
Googleが最新の調査や事例を発信している「Think with Google」です。

たとえば、“テレビでYouTube”のトピックは、2021年6月の記事「「テレビでYouTube」が月間 2,000 万人に急成長中ー」で取り上げられています。
「Think with Google」をブックマークして、すべての記事を読み続けていけば、マーケティングの動向・ユーザーの動向をキャッチアップできます。
6. まとめ
本記事では、「YouTube広告の運用に失敗する人が見落としているポイント」をテーマに解説しました。
- YouTube広告フォーマット特有の「癖」を知らない
- 競合他社と最新クリエイティブの「リサーチ」を十分にできていない
- Googleの「機械学習」のすごさを知らない
- YouTube広告が視聴される「環境の変化」を見落としている
- 運用業務を「効率化できるツール」の存在を知らない
これらの5つのポイントを意識することで、YouTube広告の運用成果が上がりやすくなります。
さっそく実践のうえ、次のYouTube広告を出稿してみてください。今までとは異なる手応えが、得られるはずです。