「Facebookでの集客が不調」と悩んだら、確認してほしいポイントが5つ、あります。
- ターゲット層がFacebookを使っているか?
- 自社のコンテンツをFacebookに展開する合理性はあるか?
- Facebookにかけられる予算はどれくらいか?
- Facebookの最新アルゴリズムに対応できているか?
- どれくらいの時間軸で考えるか?
インターネットの世界は目まぐるしく変化を続けているため、過去に好調だった施策でも、隠れた問題を抱えていることが少なくありません。
とくに、Facebookを巡る環境は変化が激しいため、あらためて見直しの意味を込めて、チェックしていただければと思います。
さっそく、最初のポイントから見ていきましょう。
目次
1. ターゲット層がFacebookを使っているか?
1つめのポイントは「ターゲット層がFacebookを使っているか?」です。
1-1. Facebookは日本では不人気
Facebookの運営会社であるMeta社の資料によれば、2022年のFacebookユーザー数は29億6,000万人で、増加の一途をたどっています。
出典:Meta Earnings Presentation Q4 2022
しかしながら世界的に見ると、Facebookは「日本では不人気」と認識されていることが多いのです。
たとえば、米国のサイトでは、
「What Companies Can Learn From Facebook’s Failure in Japan
(Facebookの日本での失敗から企業が学ぶべきこと)」
という記事が掲載されています。
実際、日本は世界的なトレンドとは逆行して、FacebookよりもTwitterのユーザーの人数が多い状況です。
【参考:FacebookよりもTwitterが人気の日本】
Facebook といえば、世界中で大規模なユーザー数と影響力を持っているため、Facebook が依然として世界中で支配的なプラットフォームであることに議論の余地はほとんどないでしょう。
出典:Japan Today ※日本語訳はGoogle翻訳
(中略)
その傾向を完全に覆す日本があります。
ここでは、Facebook のわずか 16.4% に対して 48.65% というかなりの差で首位に立っているのは Twitter です。
実際、Pinterest でさえ 2021 年に Facebook を凌駕しました。これは驚くべきことです。Pinterest を使用している人にこれまで会ったことがないと思うからです。(後略)
上記記事では、2021年時点の統計データが紹介されており、日本ではFacebookはTwitterの3分の1ほどのシェアしかないことが指摘されています。
グローバルのニュースの印象が強いと見誤ってしまいますが、日本では、Facebookは強いメディアとはいえないことを、認識しておく必要があります。
1-2. 若年層のFacebook離れが顕著
とくに、若年層のFacebook離れには、注意が必要です。
これは日本だけでなく、グローバルなトレンドとして報道されています。
【参考記事】
・米国で「Facebook離れ」 10代の利用率、8年で半減(日本経済新聞)
・10代がフェイスブックを使わない理由…「高齢者のためのもの」「とても有害に見える」 (Business Insider Japan)
日経新聞の記事によれば、
〈米国の10代を対象とするFacebook利用実態調査では、2014~2015年に71%だった利用率は2022年には32%に落ち込んだ〉
とのことです。
この期間を比較して、自社のFacebook経由の集客が落ち込んでいるとしたら、原因は自社の施策ではないかもしれません。
Facebookユーザーの変化が原因の可能性が高いでしょう。
1-3. 自社のターゲット層のFacebook利用率を明確に
今後もFacebook経由の集客を行っていく価値があるのか見極めるために、自社のターゲット層のFacebook利用率調査をおすすめします。
自社の既存顧客にアンケートを行い、利用しているSNSを調査すると、明確に把握できます。
「アカウントを持っているか?」ではなく、「現在も利用しているか?」がわかるように、質問しましょう。
【アンケート設問の例】
Q. あなたが、1週間以内にアクセスしたSNSを教えてください(複数選択可)。
□ Twitter
□ Instagram
□ Facebook
□ TikTok
□ YouTube
□ LINE
調査の結果、Facebookの利用率が低かった場合は、Facebookの施策を続ける価値がないと判断されます。
Facebookよりも利用率の高かったSNSへの施策変更を視野に入れて、検討しましょう。
2. 自社のコンテンツをFacebookに展開する合理性はあるか?
2つめのポイントは「自社のコンテンツをFacebookに展開する合理性はあるか?」です。
2-1. Facebookのメディアとしての特徴
集客で成果を出すために最も重要なポイントは、前述の「ターゲット層が、その場所にいるか?」です。
次いで、2番目に重要なポイントとして挙げられるのが、「商材やコンテンツとメディアの相性」となります。
Facebookは、どのようなメディアなのかといえば、以下が特徴的です。
【Facebookの特徴】
- 実名登録制
- 出身校や職場・前職などでつながりやすく、地元の友人・同級生・仕事関係でつながっている人が多い
- Facebookグループがあり、オンラインサロンなど学びの場やコミュニティとしても活用される
- 長文の主張やブログのような投稿に利用する人も多い
- 女性よりも男性の割合が多く、若年層の利用は少ない(ボリュームゾーンは40代〜50代)
2-2. Facebookと好相性の商材
Facebookの特徴を踏まえると、Facebookと好相性の商材・コンテンツとして挙げられるのは、以下のとおりです。
- ビジネスに役立つ情報系
- 求人
- 金融関連(ローン、投資など)
- セミナー集客
逆に、美容・アパレル・インテリアなどは、Facebookとは相性がよくないといえます。
3. Facebookにかけられる予算はどれくらいか?
3つめのポイントは「Facebookにかけられる予算はどれくらいか?」です。
3-1. Facebook広告には魅力あり
「ある程度の広告予算をかけられる」というケースなら、Facebookでの集客に成功できる可能性があります。
Facebook広告には、まだ魅力が残っているからです。
とくに、ユーザーがFacebookに登録している詳細情報をターゲティングに活用できる点は、Facebook広告だけのユニークな利点です。
【詳細ターゲット設定】
3-2. Facebook広告運用で成果を上げるコツ
Facebook広告の運用で効果を上げるコツとしては、次の7つのポイントがあります。
- 広告マネージャのアカウント構造を目的軸にする
- Metaピクセルを実装する
- 適切な入札戦略を設定する
- 機械学習の学習期間を短縮する
- Facebook広告の3つのオーディエンスを使いこなす
- Facebookの最新トレンドをクリエイティブに取り入れる
- WordPressプラグインを活用する
詳しくは「2023年のFacebook広告運用で成果を上げる7つのコツ」にて解説していますので、ご確認ください。
3-3. Facebook広告とプラグインの連携
WordPressを利用している場合、Facebook広告とプラグインを連携させることで、広告運用を効率化できます。
具体的におすすめのプラグインを3つ、ご紹介します。
3-3-1. Facebook for WooCommerce
『Facebook for WooCommerce』は、FacebookとWooCommerceを連携するプラグインです。
- 商品情報を同期し、Facebook上にショップを作成
- Facebook広告を作成・出稿
- Facebookピクセルを統合し、サイトへの流入元、流入数、コンバージョン率を確認
詳しくは『Facebook for WooCommerce』のページにてご確認ください。
3-3-2. WooCommerce Conversion Tracking
『WooCommerce Conversion Tracking』は、SNS広告のコンバージョンを計測するコードを設置する機能を持つプラグインです。
- カートに追加、商品購入、会員登録など、計測するコンバージョンを選択
- 広告サービスが異なる場合でも一括で対応
- Google、Facebook、Twitter に対応
このプラグインでFacebook広告の効果を計測すれば、クリエイティブやターゲティングの見直し、サイトの問題点の改善などを、効率的に実践できます。
詳しくは『WooCommerce Conversion Tracking』のページにてご確認ください。
3-3-3. MonsterInsights Pro
『MonsterInsights Pro』は、Google アナリティクスと連携し、管理画面内でレポートを表示する機能を持つプラグインです。
- 数問の質問に答えるだけで簡単に Google アナリティクスと連携
- サイト訪問者の流入元、行動、離脱先などのデータを計測
- 解析したデータを WordPressの管理画面に表示
- A/B テストやLPのコンテンツ出し分け機能(Google オプティマイズと併用した場合)
詳しくは『MonsterInsights Pro』のページにてご確認ください。
4. Facebookの最新アルゴリズムに対応できているか?
4つめのポイントは「Facebookの最新アルゴリズムに対応できているか?」です。
4-1. Facebookのアルゴリズムの変遷
広告予算をかけずに、オーガニックなリーチのみで集客を試みる場合には、Facebookのアルゴリズムに対応するしか方法はありません。
Facebookのアルゴリズムは大きく変化しています。
出典:Tech at Meta
まずはこれまでの流れを確認しておきましょう。
【Facebookのアルゴリズムアップデート】
- 2009年
「いいね!」が多い投稿をフィードの最上部に移動させる。 - 2015年
宣伝的なコンテンツを投稿するページのランクを下げる。 - 2016年
「いいね!」や「シェア」をしなくても、ユーザーが費やした時間に基づいて投稿を評価する「滞在時間」ランキングシグナルの追加。 - 2017年
「いいね!」よりもリアクション(ハートマークや怒り顔など)を重視。
動画に「完全視聴率」ランキングシグナルの追加(最後まで視聴するユーザーの多い動画の評価を上げる)。 - 2018年
会話や有意義なやり取りを喚起する投稿を優先。友だち・家族・Facebookグループからの投稿が優先される(企業・ブランドは、より多くのエンゲージメントを獲得する努力が必要となった)。 - 2019年
1分以上視聴される「高品質なオリジナル動画」、とくに3分以上注目を集められる動画を優先。
親しい友だち(最もエンゲージしている友だち)からのコンテンツを優先。 - 2020年
[この広告が表示される理由]によってパーソナライズド広告が表示される理由を公開。 - 2021年
さらにアルゴリズムに関するユーザーへの情報公開を進める(詳細はこちら:How does News Feed predict what you want to see?)
参考:How the Facebook Algorithm Works in 2023
とくに注目したい点は、2015年の宣伝的なコンテンツのランクダウンと、2018年の友だちや家族の投稿を優先するアップデートです。
これらのタイミングで集客効果が落ちたと感じた記憶があれば、アルゴリズム変更の影響を受けていた可能性が高いでしょう。
その後、2020年〜2021年にかけては、Cookie規制やプライバシー保護への意識が高まったことを受け、ユーザーに対して、情報開示をする方向へ動いています。
4-2. 2023年のアルゴリズムの仕組み
続いて、2023年現在の最新アルゴリズムを見ていきましょう。
3つのランキングシグナル「投稿した人」「コンテンツの種類」「投稿への反応」が利用されています。
以下は公式サイトからの引用です。
Metaは、利用者が投稿にどの程度の興味・関心を持つかを、次の3つの主要なシグナルから推測しています。
- 投稿した人: Facebookで頻繁に交流している友達や家族、参照の頻度が高いニュースサイト、ビジネス、公人・著名人の投稿が優先されます。
- コンテンツの種類: フィードでシェアされる写真、動画、リンクなどのうち、利用者本人が反応する頻度が高いコンテンツの種類が優先されます。
- 投稿への反応: 「いいね!」、リアクション、コメント、シェアなど(特に利用者がよく交流している相手からの反応)の数が多い投稿。
以上のポイントをもとに投稿がランク付けされ、フィードのどこに表示されるか、どの投稿から順に表示されるかが決まります。
出典:Meta for Media
ただし、フィードのカスタマイズ性を高める動きもありますので、注意が必要です。
フィードを思いのままにカスタマイズ
出典:Meta for Media
何が最も重要かは、結局のところ利用者本人にしかわかりません。Facebookには、フィードに表示されるコンテンツを自由にカスタマイズできる機能が用意されています。
4-3. オーガニックなインプレッションを増やすのは高難易度
上記のアルゴリズムを攻略するためには、
「ユーザーにとって有意義で有益なコンテンツを作成する」
というのが正解となります。
しかし、現実的には、なかなか厳しい道のりとなると、いわざるを得ません。
というのは、Facebookの原点には「家族や友だちとの絆を強める」という価値観があるからです。
以下は、2018年のアルゴリズムアップデートの際に公開された記事からの引用です。
Facebookは、人と人との距離を縮め、関係を構築するために作られました。
出典:Bringing People Closer Together
その方法のひとつが、ニュースフィードで友だちや家族からの有意義な投稿と人々をつなげることです。
今後数カ月の間に、私たちはランキングを更新し、人々が大切な人々と交流する機会を増やします。
Facebookが原点回帰するほど、企業・ブランドの投稿は、ユーザーが実名でつながっている友だちや家族の投稿と、競合することになります。
この厳しいアルゴリズムを乗り越えてインプレッションを増やすためには、以下を満たすことを目指しましょう。
- 高いレベルで高品質なコンテンツを作る
- 投稿者としての信頼性を向上させる(参照の頻度が高いニュースサイト、ビジネス、公人・著名人の投稿は優先される)
- 投稿に対する反応やコメントなどのエンゲージメントを数多く獲得する
5. どれくらいの時間軸で考えるか?
最後に、5つめのポイントは「どれくらいの時間軸で考えるか?」です。
5-1. 先行きが不透明なFacebook
ここまでお読みいただくと、Facebookを集客ツールとして活用する難しさを感じている方が多いでしょう。
これから成長・拡大が見込めるメディアであれば、時間とお金を投資する価値があります。
しかし、Facebookは、先行きが不透明な点に、注意が必要です。
Facebookの運営会社は、2021年10月に社名を「フェイスブック」から「メタ・プラットフォームズ」へ変更したことからもうかがえるように、主軸をメタバース事業へと移しつつあります。
2022年7月には上場以来初の減収となり、人員削減が話題となっています(参考:Meta、上場以来初の減収 広告需要の低迷が続く – ITmedia NEWS)。
5-2. 年単位のナレッジ蓄積に不向き
未来のことはわかりませんが、少なくとも現状では、Facebookは下落トレンドにあるといえるでしょう。
「2023年の1年間だけ、通用する施策ならよい」
といった短期目線であれば、取り組む価値はあります。
一方で、これから年単位で通用する集客ナレッジを蓄積したい場合、Facebookだけに注力するのはリスキーです。
ほかの選択肢も視野に入れて、取り組みを進めましょう。
たとえば、上昇トレンドという意味ではTikTok、日本におけるユーザー数の多さではLINEの選択肢があります。
以下の記事も、参考にしてみてください。
6. まとめ
以上、「Facebookで集客できないと悩んだら今すぐ確認すべき5つのこと」をテーマにお届けしました。
- ターゲット層がFacebookを使っているか?
- 自社のコンテンツをFacebookに展開する合理性はあるか?
- Facebookにかけられる予算はどれくらいか?
- Facebookの最新アルゴリズムに対応できているか?
- どれくらいの時間軸で考えるか?
「Facebookの現況として、難易度が高いことを理解したうえでチャレンジするか?
あるいは、より環境のよい場所(ほかのSNSなど)に移動するか?」
戦略は、それぞれの判断次第となります。
どちらの選択をするにせよ、上記ポイントを確認しておくことで、成功しやすくなるはずです。ぜひ参考にしていただければと思います。