「自社のビジネスの集客に、LINEをうまく使いたい」
という方へ、この記事では5つの手法を解説します。
- LINE × パーソナライズ
- LINE × チャットボット
- LINE × ミニアプリ
- LINE × 広告
- LINE × ステップ配信
LINEには、多種多様な機能や活用法が存在します。
だからこそ、誤って効果が出にくい施策から取り組んでしまうと、時間のロスになりかねません。
効果が出やすい施策から、効率的な取り組みを進めていただければと思います。さっそく、1つめの手法から、見ていきましょう。
1. LINE × パーソナライズ
1つめの手法は「LINE × パーソナライズ」です。
1-1. パーソナライズとは
パーソナライズとは、顧客の興味関心や行動履歴などを分析し、その顧客に合わせた個別の情報やサービスを提供することです。
パーソナライズは、現在のマーケティングの重要トレンドとなっています。
これまで、企業・ブランドと顧客とのやり取りは「1対多」でした。企業・ブランドが、顧客全体に対して、一方向的な情報を配信するやり方です。
一方、パーソナライズでは「1対1」で、顧客一人ひとりのニーズや好みに応じて、顧客ごとに異なるメッセージやオファー、コンテンツを配信します。
1-2. パーソナライズで集客効果が増す理由
パーソナライズを導入すると集客効果が増す理由は、以下の効果があるからです。
【パーソナライズの効果】
- ユーザーの関心に合わせた情報を提供できるので、購買意欲を高めやすい
- ECサイトのカート落ちなど、ユーザーの状況に合わせたフォローアップができる
- 顧客にとって満足できるサービスを提供しやすく、エンゲージメントの向上が期待できる
パーソナライズを実践するためのツールは、多種多様な選択肢があります。
そのなかでも、ユーザーにとって常に身近な存在である「LINE」を活用することで、パーソナライズの効果を高めやすくなります。
1-3. LINEを使ったパーソナライズの手法
具体的に、LINEを使ってパーソナライズを実践する手法としては、LINE公式アカウントの機能拡張ツールを使うやり方や、自社システムと公式アカウントを連携させるやり方があります。
それぞれ、ご紹介します。
1-3-1. WazzUp!(ECサイト向け)
出典:WazzUp!
『WazzUp!』は、株式会社ファナティックが提供しているLINE公式アカウントの機能拡張ツールです。
通販サイトにタグを入れるだけで簡単に実装でき、カート落ちや再入荷リクエストのLINE配信が実現するツールです。
セグメント別(ブランド別・アイテム別・性別・店舗別・希望する情報別など)の自動配信が行えるほか、新着情報、カート落ち・カゴ落ち、再入荷のお知らせなどに関する自動配信にも対応しています。
〈Francfrancで導入後「WazzUp!経由のCVRがメール&アプリの5倍以上」という成果〉
とのことで、ECサイトの集客に活用したいパーソナライズツールです。
詳しくは『WazzUp!』のページにてご確認ください。
1-3-2. 自社システムとの連携
自社システムとの連携手順は、導入しているシステムによって異なりますので、参考事例をご紹介します。
複数ブランドを展開する資生堂では、パーソナライズされた最適な情報を届けて行くために、以下3つの手法を採用(または検討)しているといいます。
- アンケートによるユーザー情報の把握
- ワタシプラス会員*のIDとの連携
- 複数のLINE公式アカウントを友だち登録しているユーザーのアカウント間共有
*『ワタシプラス』は資生堂のWebサービスの名称です。
資生堂の担当者は、
「ワタシプラスの会員情報との連携は、実際の購買履歴まで追跡できるのでアカウントにおけるコミュニケーションの効果測定の観点からも有用」
と述べています。
自社システムをすでに運用している場合には、システム担当者と相談のうえ、連携を検討しましょう。
資生堂の事例詳細は「「LINEでパーソナライズを追求」複数ブランドで取り組む、資生堂のLINE活用」に掲載されています。
1-3-3. WooComerce-LINE連携プラグイン
WooComerceでECを運用している場合には、『WooComerce-LINE連携プラグイン』が便利です。
WooCommerceとLINE公式アカウントを連携できるプラグインで、特徴は以下のとおりです。
- 顧客はLINEアカウントでサイトにログイン可能、離脱を減らす
- メール送信と同時にLINEにもメッセージを送信、見逃しを防止
- LINE公式アカウントと連携し、クーポン発行、お知らせやメッセージを一斉送信できる
詳しくは『WooComerce-LINE連携プラグイン』のページにてご確認ください。
※補足:WooCommerceとは、WordPressにインストールすることで、簡単にネットショップを構築できるプラグインです。
これから新しくショップを構築する予定の方は、WooCommerceを使うと、LINE連携プラグインの利用はもちろん、それ以外にもさまざまなプラグインや機能を活用できます。
WooCommerceの詳細を知りたい方は「WooCommerceの使い方|初心者でも出来る簡単図解解説」をご覧ください。
2. LINE × チャットボット
2つめの手法は「LINE × チャットボット」です。
2-1. LINEで使えるチャットボット
2023年は、ChatGPTやBing AIの登場で「AIチャット」が話題になっています。
LINEは、早期からチャットボットのサービスを提供していますが、利用できるチャットボットは、大きく3つに分けられます。
- 応答メッセージ:応答メッセージを返すのみの簡易的なチャットボット
- AI応答メッセージ:AIが自動応答するチャットボット
- Messaging APIを利用:オリジナル開発の高度なチャットボット
それぞれ、見ていきましょう。
2-1-1. 応答メッセージ
「応答メッセージ」は、友だちからチャットで話しかけられた際に自動で送られるメッセージです。
友だちから受け取ったメッセージに含まれる「キーワード」に対して、返信する「内容」を事前に設定しておくことができます。
【応答メッセージの活用法】
- 営業時間・住所・電話番号など、よくある問い合わせに含まれるキーワードに対する回答を設定しておく
- テイクアウトの有無や、予約のキャンセルなど、それぞれの業種ごとに多い質問を登録しておく
- 営業時間外や定休日などで問い合わせ対応ができないときに、自動応答できるようにしておく
設定方法は、LINE公式のマニュアル「応答メッセージ」にて図解されています。
2-1-2. AI応答メッセージ
「AI応答メッセージ」とは、ユーザーからの問い合わせ内容をAIが判別し、適切なメッセージを自動返信する機能です。
応答メッセージのように事前にキーワードや返信内容を設定する必要はありません。
あらかじめ4つのカテゴリーに分かれた内容を登録しておくと、AIが判別して自動返信を行います。
【4つのカテゴリー】
カテゴリー | 質問タイプ |
一般的な質問 | あいさつ、使い方、お礼、応答不可、クレーム、お問い合わせ |
基本情報 | 営業時間、予約、支払い、予算、住所、最寄り駅、Webサイト、電話番号、Wi-fi、コンセント、座席、禁煙・喫煙、駐車場 |
業種カテゴリー別 | 選択した業種に合わせて質問タイプが変更されます。業種カテゴリーの選択画面で質問タイプの確認が可能です。 |
予約 | 予約、キャンセル、変更、遅れ |
設定方法は、LINE公式のマニュアル「AI応答メッセージ」にて図解されています。
ただし、AI応答といっても複雑なやり取りはできず、対応しているのは簡単な応答のみです。
ユーザーが入力した言葉のバリエーションを柔軟に判別できる程度、と考えておきましょう。
2-1-3. Messaging APIを利用
『Messaging API』を利用すると、オリジナル開発のチャットボットをLINE内で使えるようになります。
たとえば、最先端の人工知能が搭載されたAIチャットボットを専門のベンダーに開発してもらい、LINEのMessaging APIを使って、自社の公式アカウントに実装する、といった具合です。
詳細はLINE Developersの「Messaging API」にて、確認できます。
2-2. まずはデフォルトで使えるチャットボットを丁寧に設定
Messaging APIを利用した、高機能なAIチャットボットの実装は、費用も時間もかかります。
その必要性とリソースがある企業・ブランドが、進めるべき施策といえます。
リソースが割けない中小企業や小規模事業者の方であれば、まずはデフォルトで使えるチャットボット機能を、きちんと設定しておくことが重要です。
高機能なAIチャットボットではなくとも、ユーザーにとっては以下のメリットがあります。
- 24時間、営業時間外や定休日でもいつでも返答が返ってくる
- 電話やメールの問い合わせと違って、待ち時間がない
- 相手が人間ではないので、気軽にやり取りできる
これまでの顧客とのやり取りを洗い出し、よくある質問をすべて網羅するつもりで、キーワードや回答を設定しておきましょう。
3. LINE × ミニアプリ
3つめの手法は「LINEミニアプリ」です。
3-1. LINEミニアプリとは
LINEミニアプリは、2020年に一般企業のエントリーが開始された新しいサービスです。
予約・注文・決済・会員証といった企業の自社サービスを、無償で「LINE」アプリ上に展開できる仕組みです。
といってもイメージしにくいかと思いますので、お手元にLINEアプリがあれば、以下の手順で確認してみてください。
企業・ブランド名を検索、またはサービス画面に移動すると表示される[サービス]内のアプリが、ミニアプリにあたります。
以下は、実際のアプリの例です。
LINEのアプリ内に、予約・会員証・ECサイトなど任意の自社サービスを設置でき、ユーザーは、いつも使っているLINEアカウントで利用できるイメージです。
ミニアプリは、ユーザーと企業の双方にとって、メリットがあります。
ユーザーのメリット
- 企業ごとに個別のアプリをダウンロードする手間や、面倒な会員登録なしにサービスを利用できる
企業のメリット
- ユーザーのアプリ導入障壁が下がるので、自社サービスにユーザーを誘導しやすい
- 自社の個別アプリを開発するコストや時間を削減できる
- ユーザーのLINEアカウントにひもづいたデータを取得してマーケティング施策に活用できる
先行事例では、以下のとおり非常に優れた成果を挙げ、注目されました。
【「LINEミニアプリ」 先行事例の実績】
- PAL CLOSET(会員証提示・ECショッピング
「3COINS」などを展開するPAL CLOSET様では、店頭の会員証発行およびオンラインショッピングで「LINEミニアプリ」を導入いただいており、「LINEミニアプリ」の導入により新規会員数は前月比200%、また、LINE公式アカウントの友だち数も導入1か月で10万人増加し、ブロック率も減少しました。 - Allbirds(店内入場の順番待ち) ※サービス提供:matoca(株式会社ブレイブテクノロジー)
シューズブランドのAllbirds様では、店内入場の順番待ちに「LINEミニアプリ」をご活用いただいており、順番待ちユーザーの80%超が「LINEミニアプリ」を経由しております。店舗内混雑を効率的に緩和することで、コロナウイルスの感染防止にお役立ていただいております。 - おくすり PASS FAST(処方せん事前受付)
アイセイ薬局様が提供する、スマートフォンで処方薬の予約ができる「おくすりPASS FAST」では、LINEミニアプリでのサービス利用者が既存のネイティブアプリを既に上回り、会員登録者数は約3倍、リピート利用の増加数は約8倍となっています。さらに薬局内での待ち時間が短縮され、コロナウイルスの感染防止対策の一つとなりました。
出典:LINE株式会社
3-2. LINEミニアプリの2つの導入方法
ミニアプリで提供するサービス内容は、導入する企業が、自社に合わせて任意で設計できます。
具体的にLINEミニアプリを導入する方法は、以下の2つあります。
- パッケージ:開発会社が提供している、パッケージ化されたLINEミニアプリを導入する
- 個別開発:開発会社に個別に依頼して、自社オリジナルのLINEミニアプリを開発する
小規模ビジネスであれば、まずは「パッケージ」を利用することが推奨されます。
パッケージ化されているため、すぐに導入でき、初期費用+月額費用のみで安価に利用できるためです。
一方、自社専用のサービス設計や既存システムとの連携などが必要な場合には、個別開発が選択肢となります。
3-3. LINEミニアプリ パッケージの例
LINEミニアプリの既存パッケージは、以下のリンクから確認できます。
たとえば、
「予約システムが欲しいけれど、アプリを開発する予算はない」
「かといって、Webページ上で動くツールでは、ユーザーになかなか使ってもらえない」
といったお悩みがあれば、LINEミニアプリを検討する価値があります。
詳しくは「【公式】LINEミニアプリ」から資料をダウンロードして、ご確認ください。
4. LINE × 広告
4つめの手法は「広告」です。
4-1. LINE広告とは
LINE広告は、裾野の広さが魅力的な媒体です。
LINE広告は、月間9,300万人※が利用する「LINE」に広告を出稿するための広告配信プラットフォームです。
「LINE占い」や「LINE:マージジェリー」など、各種ファミリーアプリへの配信も可能。
オンラインで手軽に広告配信設定をすることができます。
※2022年9月末時点
月間9,300万人がLINEを利用しているとされ、日本の人口の70%以上のカバレッジを誇ります。
【LINEのユーザーはどんな人?】
出典: LINEキャンパス
10代から60代以上まで、各年代に偏りなくユーザーがいるため、どのようなビジネスにとっても集客のチャンスがあるといえるでしょう。
4-2. LINE広告運用の重要ポイント
LINE広告は、以下のとおり数多くの配信面を持つ特徴があります。
出典:LINE広告運用ガイド
LINE広告の運用の際は、以下のポイントを押さえることが重要です。
【LINE広告運用の重要ポイント】
- 画像サイズと掲載面の関係性を理解する
- 多数のクリエイティブを準備する
- 自動入札と手動入札を使いこなす
- ターゲットを絞りすぎない
- 目的に合わせて適切な入札戦略を選択する
- 除外したいオーディエンスを設定する
- 類似配信で拡大する
- リターゲティングで追いかける
- 問題の切り分け形式でクリエイティブを改善する
上記の詳細は「LINE広告の運用で早く勝ちパターンにたどり着く9つの重要ポイント」にて解説しています。
5. LINE × ステップ配信
5つめの手法は「LINE ステップ配信」です。
5-1. ステップ配信とは
広告などで集客したユーザーを、しっかりとコンバージョンにつなげていくためにマスターしたいのがステップ配信です。
ステップ配信とは、友だち追加したユーザーに対して、あらかじめ用意しておいた内容・タイミング・期間でメッセージを自動配信できる機能です。
【ステップ配信の例】
- 翌日:お礼のメッセージ
- 3日後:アンケートのお願い
- 1週間後:感謝クーポンのプレゼント
- 2週間後:イベントへのご招待
- 1ヶ月後:限定キャンペーンのご案内
このように、時間の経過とともに順番にコミュニケーションをとることで、コンバージョン率を高めやすくなります。
ステップ配信は、「友だち追加日」を軸としたパーソナライズの一種ともいえます。
5-2. ステップ配信のモデルケース
LINE公式サイトではモデルケースが提案されていますので、要約してご紹介します。
5-2-2. ECサイトや教育・習い事
商品・サービスに関するメッセージ配信を継続して行い、興味関心を高めていきます。
【設定例】
- 友だち追加して3日目に商品の具体的な特長を訴求する内容を配信
- 5日目に実際に購入したユーザーの感想を紹介
- 7日目に購入を促すために友だち限定のクーポンを配信
実際には、いくつものパターンを実際に試しながら、自社にとって最適なステップ配信のやり方を見つけていきましょう。
5-2-1. リアル店舗(飲食店・小売店・美容サロンなど)
- 店舗に友だち追加用のQRコードを掲載したPOPなどを設置し、来店したユーザーを、QRコード経由で公式アカウントの友だちに誘導する。
- ステップ配信の経路を設定する際に「外部流入(QRコードやWebページなど)」を選択し、QRコード経由のユーザーを対象とする。
- 配信するタイミングを「1日後」に設定し、次回に使えるクーポンやお礼のメッセージを送信する。
※補足:ステップ配信では、配信するための開始条件に「ユーザーが友だち追加した経路」を指定できます。
上記のようなリアル店舗の場合は、店頭にQRコードを用意しておくことで、経路を特定できるようになります。
詳しくはLINE公式の「「ステップ配信」機能の基本と業種別のおすすめ設定を紹介」にてご確認ください。
6. まとめ
以上、「LINE集客のマーケティング戦略—ライバルと差がつく5つの最新手法」をテーマにお届けしました。
- LINE × パーソナライズ
- LINE × チャットボット
- LINE × ミニアプリ
- LINE × 広告
- LINE × ステップ配信
なお、細かな部分は自社のビジネスに合わせて最適化しながら、ひとつずつ、取り組みを進めていきましょう。